奄美大島で国内初確認 「モンロユカタハゼ」 20年前の標本調査 鹿大総合研究博物館

2022年03月18日

自然・気象

奄美大島で採集された「モンロユカタハゼ」(萩原清司氏撮影)

鹿児島大学総合研究博物館などの研究チームは、奄美大島沿岸で約20年前に採集されたハゼ科の魚類が、フィリピンなどで新種と確認された「ハゼウス・プロフスス」であることが分かったと発表した。国内で確認されたのは初めて。体の模様が浴衣などに使われる織物・紋絽(もんろ)の文様に似ていることから、「モンロユカタハゼ」と和名を付けた。

 

鹿大総合研究博物館と横須賀市自然・人文博物館(神奈川県)の研究チームが、3月1日に出版された日本動物分類学会の和文誌「タクサ」に論文を発表した。

 

鹿大総合研究博物館によると、モンロユカタハゼは体長約2・5㌢、淡い褐色の体の側面に黒っぽいまだら模様が並んでいる。1999年11月に瀬戸内町阿鉄沿岸の水深10㍍付近の砂泥底で採集されたが、種は特定されていなかった。

 

同博物館に所蔵されていた標本を調べたところ、ひれの形状や体の模様などの特徴から、フィリピンやソロモン諸島などで見つかり、2021年に新種と分かったハゼウス・プロフススであることを確認した。分布の北限記録はフィリピンのルソン島から奄美大島へ1000㌔以上更新された。

 

同博物館の本村浩之教授は「奄美大島ではサンゴ礁の魚類が注目されがちだが、本個体が採集された内湾の砂泥域にも興味深い生態系が広がっている。目立たなくても、豊かな生物多様性を誇る奄美の砂泥域の調査を進めていきたい」と述べた。