通常営業きょうから再開 期待と不安、複雑な心境 奄美の飲食業関係者

1日からの通常営業再開を前に仕込み作業に追われる飲食店スタッフ=9月30日、奄美市名瀬

  県が新型コロナウイルス対策をめぐり、県内全市町村の飲食店に要請していた時間短縮営業が9月30日で終了し、1日から通常営業が可能になった。8月20日からの時短要請期間は1カ月以上。奄美では臨時休業する店舗も多かったため、関係者にとっては待望の再開となる。ただ、すぐに客足が戻るかは不透明で、感染再拡大の懸念も付きまとう。もろ手を挙げて喜べない現状に経営者らは不安も抱えている。

 

 奄美市名瀬の繁華街・屋仁川通りにある奄美料理黒酎ダイニング纏(まとい)では30日午後、スタッフが仕込み作業に追われていた。店主の海老原寛樹さん(39)は「通常営業初日の予約が入って正直ほっとしている」と笑顔を見せ、「通常営業になれば逆に時短営業中よりも密を避けることができ、お客さんにゆっくり楽しんでもらえると思う。感染対策はこれまで通り、できることを徹底するだけ」と気を引き締めた。

 

 飲食店との結び付きが強い酒販業者の期待も大きい。「お客さんあっての酒販。長く続いているこの厳しい状況が変わればいい」と話すのは、同通りにある玉城食糧売店代表の玉城隼次さん(37)。「取引先からの注文に今のところ大きな動きはない。各店舗とも地元のお客さんの動向をうかがっているようだ。特にスナックはお客さんの入りが読めない」とも語った。

 

 感染者が急増した徳之島の飲食店に対しては、8月16日から県が先行して時短営業を要請していた。

 

 営業を再開するという徳之島町亀津でバーを経営する男性(50代)は「前回(昨年12月)営業を自粛した時よりも島内での感染者数が多く、何より40日以上と期間が長かった。ようやく店を開けられるとほっとしている」と安堵(あんど)する一方で、「万が一を思うとカラオケの全面再開は怖い。しばらくは部屋数や人数を制限しながら様子を見たい。今年こそは忘年会シーズンを無事に迎えられるよう願っている」と警戒感も示した。

 

 知名町の飲食店20店舗以上が加盟する小米飲食業振興会の田辺収一会長(67)は「時短要請の影響を受け、会員でも特にスナックなど2次会の利用が多い店が大変だった。協力金は固定費と従業員への給料を払えば、ほとんど残らない。やっと通常営業ができる」と喜んでいた。

 

 田辺会長が経営する焼き肉店とカラオケ店も1日から通常営業に戻す。「島の人が家飲みに慣れた中、客足はすぐには戻らないだろう。観光客が増えてくると、コロナの感染がまた広がらないかという不安もある」と複雑な心境も口にした。