キビ低糖度で緊急対策=農水省

2018年03月30日

社会・経済 

低糖度が続いている徳之島産サトウキビ=29日、徳之島町徳和瀬

低糖度が続いている徳之島産サトウキビ=29日、徳之島町徳和瀬

 2017年産サトウキビの糖度が落ち込んでいる事態を受け、農林水産省は緊急対策を講じる。18年産に向けた財政支援で土づくりやかん水対策を後押しするほか、低糖度に対応したセーフティーネット基金が発動できるようにする。被害が深刻だった鹿児島、沖縄両県の生産者が対象になる。

 

 奄美群島産のサトウキビは糖を蓄える登熟期の昨年10月に台風接近で潮風害を受け、糖度が上がらなかった。12月の低温が重なり、被害は十分に回復しなかった。

 

 日本甘蔗糖工業会によると、奄美群島の大型製糖工場5社の買い入れ原料の平均糖度(3月20日現在)は▽富国製糖13・27度▽生和糖業12・00度▽南西糖業12・11度▽南栄糖業13・01度▽与論島製糖13・10度。いずれも前年同期を下回り、奄美全体では1・76度低い。

 

 今期のキビ1トン当たりの生産者手取りは糖度13・7度で2万1753円。基準糖度帯(13・1~14・3度)を下回ると、0・1度ごとに139円が減額される。

 

 緊急対策は国の17年度補正予算で18年産の生産振興に2億円を充て、▽土づくりのための堆肥購入▽被害を受けて植え替えが必要になった苗の購入▽台風通過後に水まきを促すための資材整備―などを補助する。

 

 セーフティーネット基金の発動要件は従来の干ばつや台風に加え、低糖度に対応した「原料搬入後1カ月間の平均糖度が11・5度以下」を新たに加えた。17年産から適用し、鹿児島、沖縄両県の計画を踏まえて具体的な経済支援策を決める。

 

 日本甘蔗糖工業会は「産地側が求めていた支援で大変ありがたい。キビ離れを招かないよう18年産の回復も大事になる」としている。