クラフトビール大手と契約 “巣ごもり”需要に着目 奄美市名瀬の大野商会

2021年02月01日

社会・経済 

自社店舗にはレジ前にクラフトビールの特設コーナーを設置。商品をPRする大野社長=1月20日、奄美市名瀬

自社店舗にはレジ前にクラフトビールの特設コーナーを設置。商品をPRする大野社長=1月20日、奄美市名瀬

 新型コロナウイルスの影響でさまざまな業種が経営不況に陥る中、奄美の各企業も難局を乗り越えるため業態変化や、新たな事業展開を試みている。奄美市名瀬の酒類・清涼飲料水の卸売業者、大野商会(大野明社長)もその一つ。コロナ禍で飲食店への客足が遠のき、同社でも酒類の取扱量が減少した中、“巣ごもり”需要もあり、近年全国で注目を集めるクラフトビールに着目。1月から国内最大手の製造メーカーと特約店契約を結び、島内での市場開拓に取り組んでいる。

 

 クラフトビールは、小規模な醸造所がつくる多様かつ個性的なビール。商品それぞれに異なった味わいが楽しめるのが特徴。

 

 大野商会では顧客の「島でクラフトビールを扱っている小売店が少なく、ネットショップで取り寄せている。もっと気軽にいろんな種類を味わえたら」といった声をきっかけに昨年末、クラフトビールの島内市場を独自に調査。「一部の量販店とドラッグストアには置いているが、ポピュラーな数種類に限定されている」と分析した。

 

 それを踏まえ、「よなよなエール」などの銘柄で知られるクラフトビール国内最大手のヤッホーブルーイング(本社・長野県)に商品の取り扱いを打診したところ、同社も奄美での市場開拓に関心を示し、特約店としての契約につながったという。

 

 現在、大野商会で取り扱っているのは「よなよなエール」などの同社製品6種類。島内の小売店に卸したり、自社店舗の「アイショップ名瀬中央店」で販売している。大野社長(38)は「小売店の反応もいい」と手応えを感じており、今後は島内での需要に合わせて取り扱う量や種類も拡大したい考え。

 

 大野社長は「ケース買いなどビールを一度にたくさん買う場合、小規模な小売店では量販店などの価格に太刀打ちするのは難しいが、独自色のある商品を置くことで差別化も図れる。コロナの影響で“家飲み”が増えている中、クラフトビールは小売にとっても可能性を広げる商品だと思う」と話した。