タンカン「平井Red」が新品種登録

2020年01月05日

社会・経済 

新品種として登録された「平井Red」

新品種として登録された「平井Red」

 奄美市名瀬の果樹園で見つかったタンカンの枝変わり(突然変異体)が新品種として登録された。果樹農家の平井学さん(71)が発見し、長男の孝宜さん(38)と共に「平井Red」の名称で農林水産省に出願していた。着色や減酸が既存品種より2~3週間早く、1月中旬に収穫が見込める。奄美大島各地の生産者が今年秋ごろに試験栽培に着手し、早ければ5年後の流通開始を目指す。

 

 平井Redは、名瀬の本茶峠近くの果樹園で2013年1月、果皮の色が濃い果実が着果している枝を学さんが発見。県農業開発総合センター大島支場の協力で果実や樹体の特性の調査を進め、18年1月に新品種登録を出願。19年1月に農水省の現地調査があり、同年11月に登録された。枝変わりによるタンカンの品種登録は県内で初めてという。

 

 既存品種の「垂水1号」と糖度は同程度だが、果皮の着色や酸切れが早い。赤みの強い鮮やかなだいだい色が特徴で、名前の由来となった。1月中旬に収穫できるため、中晩柑「津之輝(つのかがやき)」が出回る年末から、既存タンカン収穫期の2、3月にかけて、奄美産かんきつ類のリレー出荷が可能になる。

 

 島内各地のかんきつ生産者が今年秋ごろから試験栽培を実施。品種特性の把握とデータ収集を進め、生産者の選定などによって品種の管理を確立して産地化を目指す。

 

 平井さん親子には12月下旬に新品種登録の一報が入った。孝宜さんは「登録まで7年の年月がかかった。多くの人の協力のおかげ」と喜ぶ。産地化に向けて「奄美のかんきつ類の幅が広がり、消費者に長い期間楽しんでもらえるようになる。新品種が起爆剤となり、地域活性化につながればうれしい」と話した。

父親の学さんと共に出願した平井孝宜さん=4日、奄美市名瀬

父親の学さんと共に出願した平井孝宜さん=4日、奄美市名瀬