奄美の未来の農業語り合う 奄美市でシンポジウム

2019年10月07日

社会・経済 

奄美の未来の農業について語り合ったシンポジウム=5日、奄美市

奄美の未来の農業について語り合ったシンポジウム=5日、奄美市

 シンポジウム「奄美の未来の農業を考える」(棚田復元黒米作りサークルあぶし会主催)は5日、奄美市名瀬末広町のAiAiひろばであった。島外有識者2人と地元農業従事者3人が登壇。来場者約50人と奄美の農業の現状や課題を語り合い、「暮らしとしての農業で奄美の食の自給を進めよう」との考えを共有した。

 

 初めに、農業に従事する畑琢三さん(瀬戸内町)、渋谷丹さん(奄美市)、森山力蔵さん(同)の3人が登壇。就農当初の苦労や完全無農薬栽培への挑戦、伝統野菜の普及栽培など、自身の活動や農業への思いを語った。

 

 後半は京都大名誉教授の松下和夫さん、鹿児島大名誉教授の萬田正治さんがそれぞれ講演した。

 

 松下さんは世界的な気候危機と持続可能な発展に向けた取り組みを解説。日本は原発再稼働の推進、再生可能エネルギー普及の立ち遅れなど「世界の潮流に反する」とし、取り組み強化の必要性を訴えた。

 

 萬田さんは「奄美は他力本願でなぜ食の自給をしないのか」と指摘。農業を▽産業として▽暮らしとして―の二つの側面から複眼的に捉える必要性や水田復活による米の自給を提言した。

 

 来場者を交えた討論会では「台風襲来直後、島のスーパーには何もない。奄美で作れる作物をどうにか作ってほしい」「農業では食べられない。行政からの後押しも必要では」「30年前と比べて奄美の若者の考え方は変わり、シマ(古里)に誇りを持ち始めている。小さく何かやることからできると思う」などの意見が上がった。