新品種見込む「平井Red」試験栽培に着手 JAあまみ果樹部会

2018年09月29日

社会・経済 

「平井Red」の特性などが説明されたJAあまみ大島事業本部果樹部会の全体総会=28日、奄美市名瀬  

「平井Red」の特性などが説明されたJAあまみ大島事業本部果樹部会の全体総会=28日、奄美市名瀬

 JAあまみ大島事業本部果樹部会(大海昌平部会長)の2018年度総会が28日、奄美市名瀬朝戸の農業研究センターであり、今年8月にタンカンの新品種登録出願が公表された「平井Red」のの方向性が示された。19年に試験栽培に着手する予定で、JAを窓口に関係機関を交えて産地化への協議を進める。

 平井Redは、同市名瀬の果樹農家平井學さんの農園で13年に偶然見つかった在来タンカンの枝変わり(突然変異体)で、平井さんや県農業開発総合センター大島支場が調査を進めてきた。

 その結果、在来種の「垂水1号」と糖度は同程度だが、果皮の着色や酸切れが20日程度早く、1月中旬の収出荷が見込めることが判明。平井さんは今年1月に長男の孝宜さんとともに農林水産省に新品種登録を出願した。現地での審査などを経て2年後の品種登録が見込まれている。

 JAによると、産地化の方向性は▽大島事業本部果樹部会の部会員が対象▽一定以上の生産規模を確保する▽在来品種(垂水1号)との混植を行わない▽苗木の台木をカラタチ台とする―などを生産農家の条件に位置付け、協議を重ねる。

 試験栽培は奄美大島のかんきつ生産者の中から、地域別に6人程度を選出して実施。着色時期や糖度上昇、減酸パターンなど、品種特性の把握とデータ収集を行う。

 低迷が続く朝戸の選果場の在り方も議題に上り、JAは「持ち込み量が250㌧未満だと赤字で、島内の果樹生産規模を見ると、十分にクリアできるが、稼働後に200㌧を上回ったのはわずか1年だけ」と報告し、選果場の健全運営に向けた積極利用を求めた。

 同部会の会員数は約460人。これまでは5支部ごとに毎年度の総会を開催してきたが、会員間の交流促進を求める若手会員から支部の垣根を越えた全体総会の開催要望があり、本年度初めて開催。約100人が出席した。