新春インタビュー 鹿児島、奄美発信に絶好の年 三反園訓県知事

2020年01月01日

政治・行政

新年号・知事インタビュー写真(三反園氏) 丸山 (1) ―昨年は奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の延長など奄美も節目を迎えた。奄美の振興対策は。

 「奄美群島へは就任以降、20回以上訪れた。車座対話29で多くの要望が寄せられ、輸送コストの低減や交通面での不利性改善などが実現できた。節目を迎える中で奄振の効果を感じられた。今年も奄美群島に暮らす人々の生活が良くなるように、県としても施策の充実へ取り組む」

 

 ―今年は奄美・沖縄の世界自然遺産登録の実現にも期待がかかる。

 「奄美の優れたポテンシャルを生かしながら、ぜひ実現にこぎ着けたい。登録により、奄美の素晴らしい自然環境や文化を次世代へつなぐ機運を高め、地域資源を生かした観光など経済の活性化も図れる」

 

 ―昨年12月議会で2期目へ立候補を表明した。県政全般で昨年を振り返り、今年の施策の進め方と2期目への意欲を。

 「昨年は子育てと高齢者支援を重点施策に、過去最大規模の予算を確保して取り組んだ。子育て支援は保育士不足の解消に向けた就学資金の貸与制度や産婦人科の専門医不足解消に向けた医師派遣など、子どもを産み育てやすい環境の構築へ努めた。高齢化社会については、健康寿命を延ばす施策にも取り組んだ。生きがいを持って暮らせる社会づくりは重要。本年、そして2期目も子育て支援と高齢者支援を県政の2本柱として発展的に施策を展開したい」

 

 ―基幹産業である農業、観光振興の取り組みは。

 「これらも県政推進の重要な施策。農業振興に向けては、TPP11(米国を除く環太平洋連携協定参加の11カ国が合意した新協定)発効など目まぐるしい農業の国際情勢に対しクラスター事業などで守りを固める一方、国と連携し農産物の輸出を促進していきたい。国内で初めて鹿児島県がオーストラリアへの輸出を始めた和牛については中国も輸入解禁への動きがあり、今後はこれらも見据え安心安全な日本一の和牛をPRしながら戦略を進めていく。他の農産物もブランド化を進め、少しでも高く売って生産者の所得を増やす。後継者の確保や育成につなげる好循環が必要だ。奄美群島のサトウキビは今シーズン、生産量、糖度とも順調と認識している。今後は災害に強い品種の導入や、栽培促進に適した環境の整備も必要。後継者が安心して営農を続けられるよう、地元の生産者とも意見交換しながら振興策に取り組む」

 「観光については、48年ぶりの国体開催など大きな節目。約80万人が鹿児島を訪れ、600億円超の経済効果が期待される。鹿児島の魅力を発信する大きなチャンスだ。奄美群島については自然遺産登録を機会に、自然や文化の素晴らしさもさらにPRしたい」

 

 ―今年1年を象徴する漢字を選ぶならば。

 「昨年は、鹿児島が輝くという思いを込め『輝』という漢字を当てた。実際にそうなったかということについては、さまざまな指摘も受けなければいけないとも思うが、今年は『躍』という字を当てたい。素晴らしいポテンシャルがたくさんある鹿児島が飛躍、躍進する年にしたい」