時短要請延長「これで最後にして」 奄美大島も飲食業者ら

2022年01月21日

社会・経済 

「仕方がない」。県の時短要請延長を受け入れ、夜の営業に向けて仕込み作業をする店舗のスタッフ=20日、奄美市名瀬

県は19日、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を受け奄美大島5市町村に発令した県独自の緊急事態宣言を継続し、島内飲食店に対する営業時間短縮と酒類提供停止の要請を2月7日まで延長すると発表した。時短要請期間は2週間延長され計1カ月間。深夜まで営業する飲食店も多い奄美市の関係者は、2桁の感染確認が続く現状も踏まえて「収束を待つしかない」と県の対応に一定の理解を示しながら、「(営業の時短要請は)これで最後にして」と悲痛な声も漏れる。

 

奄美市名瀬の繁華街・屋仁川通り(通称やんご)にある「レストパブTears(ティアーズ)」の濵﨑仁志代表(48)は、県の時短要請延長を「仕方がない」と受け止める。営業は通常午後9時からのため、要請期間中は休業すると決めた。

 

同店は昨年9月、感染対策が徹底されている店舗に県がお墨付きを与える「第三者認証制度」に申請し、屋仁川通りで第1号の認証店となった。認証店になると、感染拡大時でも通常営業を選択できるなど優遇措置を受けられるが、県は今回、島内で感染を抑え込み、医療提供体制を維持する観点から、認証店に対しても非認証店と同様の要請を行った。

 

濵﨑代表は「本音を言えば優遇してほしいが、これだけ感染者が増えれば県の要請も納得できる。感染者が減って団体客が入るようになるまで辛抱して待ちたい」と語った。

 

「自分たちの生活があるので…」。そう話すのは同通りで昨年10月にオープンした「焼鳥・壱番」のスタッフ新納正樹さん(29)。休業する居酒屋が多い中、少しでも売り上げを伸ばそうと、時短営業しながら昼の営業にも力を入れている。新納さんは「観光客も減って人通りは少ない。お酒が提供できないのはやはりつらい」とこぼし、「時短要請はこれで最後にしてほしい。早く元の屋仁川に戻ってほしい」と力を込めた。

 

緊急事態宣言の継続は飲食店だけでなく、観光業へも影響を広げている。

 

奄美観光レンタカーの泉保雄代表取締役(63)は「正月明けから予約の8割以上がキャンセルになった。いつまでこの状況が続くのか。ただでさえ人手不足。雇用だけは守りたい」と吐露。「大変なのは飲食業だけではないことを知ってもらいたい」とも強調した。