機織り講座開設へ 1年で習得、独り立ち目指す 龍郷町の夢おりの郷

2021年02月02日

社会・経済 

機織りの指導を行う伝統工芸士の平さん(左)と受講生の石川さん=1月23日、龍郷町大勝の夢おりの郷

機織りの指導を行う伝統工芸士の平さん(左)と受講生の石川さん=1月23日、龍郷町大勝の夢おりの郷

  本場奄美大島紬の機屋「夢おりの郷」(本社・龍郷町大勝、南晋吾社長)は4月から、機織り講座を開く。職人としての独り立ちを目標に、1年かけて技術習得を支える。南社長は「修了後も継続して仕事ができるようサポートする。後継者育成と同時に、職人の待遇改善に向けた取り組みとして同業者にも刺激を与えられたら」と話す。

 

 同社は本場奄美大島紬の製造と小物の販売などを行う。図案製作、染色、織りなどの一連の工程を自社で行っており、一部を体験型観光メニューとしても展開している。

 

 大島紬の製造は分業化され、製造元である機屋が機織りなどを担う職人らを出来高制の工賃で雇うのが一般的。一方、流通の主導権や市場価格の決定権は生産者と消費者の間に入る問屋や小売店に委ねられており、産地では低賃金と高齢化による離職や後継者不足が課題となっている。

 

 南社長は「手間と人手が掛かる高級織物にも関わらずほとんどの職人は工賃だけでは生活ができない状況で、このままでは産地も問屋、小売店も共倒れする」と指摘。講座を通して職人の賃金の適正化を図り、生産者や流通関係者らへ理解を広げたい考えだ。

 

 同社は職人を給料制で雇用する取り組みも進めており、現在、家族以外の従業員として7人の職人が在籍する。うち1人は同社初の産休を取得中という。

 

 講座修了生については、パートタイム従業員や正規社員としての登用も考える。南社長は「希望があれば別の講座として締め機や加工、染色の指導も行う。興味のある人は、ぜひ見学に来てほしい」と話した。

 

 指導者で伝統工芸士の平若代さん(69)は「目と指先が元気なら一生続けられる仕事。丁寧に教えるので初心者も安心してほしい」とアピール。昨年4月から同社で学んでいる奄美市の石川成美さん(42)は「根気のいる作業だが他にない達成感を味わえる。この先も仕事として続けたい」と話した。

 

 講座は週に3回以上通える人が対象(木曜は定休日)。受講料は月3000円。帯やストールなど織りやすい素材から始め、織り上げたら工賃を支払う。応募は3月中旬まで。申し込み、問い合わせは電話0997(62)3888夢おりの郷。