沖永良部バレイショ出荷最盛も農家嘆き節

2018年04月04日

社会・経済 

バレイショの出荷最盛期を迎え、連日作業が行われているJAあまみ知名事業本部の集出荷場=3日、知名町

バレイショの出荷最盛期を迎え、連日作業が行われているJAあまみ知名事業本部の集出荷場=3日、知名町

 沖永良部島産バレイショ「春のささやき」が出荷最盛期を迎えている。今期産の作柄はおおむね良好。掘り取り作業も順調に進んでいるが、市場価格は低迷している。特に丸系の品種(デジマ、ニシユタカ)は3月末の市況報告で1キロ100~110円台。農家手取りは採算ラインとされる70円を割り込み40~50円台と落ち込んでいる。農家からは「豊作貧乏だ」と嘆き節が聞かれる。

 

 JAあまみの和泊、知名両事業本部によると、今期の共販計画は▽和泊 収穫面積328ヘクタール、出荷量4800トン(前期実績298ヘクタール、4483トン)▽知名 同279ヘクタール、3500トン(同206ヘクタール、3084トン)。

 

 計画に対する出荷の進捗率は和泊が67%(3月31日現在)、知名が87%(4月3日現在)。和泊は5月上旬、知名は4月下旬まで続く見通し。

 

 市場価格は例年であれば出荷期の序盤ほど高く、日がたつに連れ徐々に下がる傾向にある。一方、今期産は両事業本部が出荷を開始した1月末の農家手取りは150円程度と例年より高め。2月前半も130円前後と平年並みだったが、その後急落。2月後半から80円台。3月中旬には丸系品種で40~50円台まで落ち込み、現在もほぼ底値で推移している。

 

 両事業本部は価格下落の要因を▽全国的な豊作傾向▽北海道産との併売▽過去2カ年の価格高騰で加工向けの輸入量が増加▽3月に入り葉物類や軟弱野菜などが急増し、野菜全般が価格低迷―などと分析している。

 

 知名事業本部の担当者は「価格は3月で底を打ったと思うが、残り期間で大幅な回復は見込めない状況。今の時期でも農家手取りが100円以上あった前年と比べると今期は半値以下。下がるとは思っていたが予想以上」と話した。

 

 知名町久志検のバレイショ農家久本和秀さん(55)は「農家同士、顔を合わせれば価格への不満が口をつくのが現状」と険しい表情。「シルバー(人材センター)への掘り取り作業の委託を取りやめるなどいくらか節約に努めているが、輸入品も年々増加傾向で、来年以降も価格低迷への不安はある」と話した。