沖永良部・与論のキビ、生育順調 台風から「恵みの雨」

2018年08月15日

社会・経済 

夏場も適度な雨が降り、順調に生育しているサトウキビのほ場=14日、知名町田皆

夏場も適度な雨が降り、順調に生育しているサトウキビのほ場=14日、知名町田皆

 例年、梅雨明け以降は少雨傾向が続く奄美地方。沖永良部島や与論島は昨年も干ばつに悩まされたが、今年は台風の影響でまとまった雨が降る日もあり、基幹作物サトウキビはこれまでのところ順調に生育している。両島のキビ農家ら糖業関係者からは「台風のおかげ」との声も聞かれる。

 

 気象庁データによると、昨年の梅雨明け(6月29日)から8月13日までの降水量は沖永良部島26・0ミリ、与論島37・0ミリで、いずれも平年の2割以下。各ほ場では干ばつで葉が丸まるロール現象に加え、葉が黄色く枯れる被害も出ていた。

 

 今年の梅雨明けは昨年より3日早い6月26日。同月29日から8月13日までの降水量は沖永良部310ミリ、与論179ミリ。昨年に比べ沖永良部は約12倍、与論は約5倍だ。

 

 5ヘクタールのほ場でキビを栽培する知名町正名の西田安村さん(60)は「今年の台風は接近しても勢力が弱かったり、強い台風でも島から離れた場所を通過したりして恵みの雨を降らせている。キビ農家にはありがたい状況」とし、「スプリンクラーでの散水もしているが、やはり自然の雨が一番だ。今年は畑の地割れもなく、キビが喜んでいるのが分かる」と話した。

 

 沖永良部さとうきび生産対策本部の菅村晃也事務局長は「夏場はキビの生育にとって最も重要な時期。雨が欲しいタイミングで適度な降雨があり、今のところ島内のキビの生育は順調」と語った。

 

 与論町は昨年の干ばつ被害を教訓に、例年より早い7月17日、干ばつ被害対策本部を立ち上げ、散水への助成や啓発活動を強化した。

 

 町産業振興課のキビ担当者は「台風のおかげで今年は溜め池の貯水量も余裕がある。今後も9月まではこうした雨を期待したいが、収量減や糖度低下につながる10月以降の大きな台風には注意が必要」と話した。

 

 例年ならしばらく少雨傾向が続く時期。関係機関は引き続き、散水車や散水器具を活用したほ場への定期的な水撒きを呼び掛けていく。