空港バスで紬PR 仕掛け人は織り職人

2019年12月29日

社会・経済 

男性の紬姿で話題のバスと、仕掛け人の山口さん=28日、奄美市名瀬朝仁

男性の紬姿で話題のバスと、仕掛け人の山口さん=28日、奄美市名瀬朝仁

 本場奄美大島紬がテーマの外装を施した空港バスが24日から、奄美大島で運行を始めた。車体に女物の紬を重ね着した男性を描いた斬新なデザインが評判を呼んでいる。仕掛け人は織り技術者の山口つぐみさん(28)。「新しい視点で紬の魅力を捉えた。紬のイメージアップにつなげたい」と期待した。

 

 山口さんは曽於市出身。大学生のころから着物が好きで、大学卒業後に奄美大島に来島し本場奄美大島紬技術専門学院に入学。学院卒業後もアルバイトをしながら機織りを続けている。

 

 「作り手として感じている紬の素晴らしさを伝えたい」という山口さんの思いに賛同して集った計6人を中心に計画がスタート。奄美市の「紡ぐきょらの郷(しま)づくり事業」を活用し、㈱しまバスの協力で実現した。バスは今後5年間運行する予定。

 

 「チームは20~40代のいろいろな業種の人たち。紬業界の人間だけでは出てこない面白いアイデアを盛り込めたと話す山口さん。「奄美といえば青い海と空。紬といえば女性―など従来のイメージを覆し、一目で印象に残るデザインが完成した。バスを見た若い人が『自分も面白いことをやってみたい』と思える起爆剤になってくれたらうれしい」と笑顔を見せた。

 

 同バスを運転した運転士の浅倉光代さんは「紬の落ち着いた雰囲気も生かしながら色っぽいデザイン。私も気に入って思わずSNSで紹介したら評判上々だった。今後の乗客の反応も楽しみ」と話した。