金井工芸が繊研賞 継承とコラボなど評価 龍郷町

2020年11月01日

社会・経済 

泥染めの洋服で贈呈式に臨んだ金井志人さん(右、繊研新聞社提供)

泥染めの洋服で贈呈式に臨んだ金井志人さん(右、繊研新聞社提供)

 繊維・ファッション関連業界に貢献した企業や団体、個人を表彰する2019年度繊研賞(繊研新聞社主催)に、龍郷町戸口の金井工芸(金井一人代表)が選ばれた。伝統技術の継承やアパレルブランドとの協業による市場拡大などが評価され、奄美では初の受賞。27日は東京都のホテルで贈呈式があり、同社の金井志人さん(40)が「奄美の自然、文化があったからこそできたこと。伝統技術を継承し、これからも新しい分野にチャレンジしていきたい」などと語った。

 

 繊研賞は東京都中央区日本橋に本社を置く繊研新聞社(佐々木幸二社長)が創業30周年を記念して創設。百貨店や大手ブランド代表など業界有識者らが選考し、毎年表彰している。今年で42回目。

 

 今回は金井工芸のほか、革新的なファッションを提案する「アンリアレイジ」(デザイナー・森永邦彦氏)、羽毛のリサイクルで循環型ビジネスモデルを確立した「グリーンダウンプロジェクト」など計5企業・団体が表彰された。

 

 金井工芸は泥染め・藍染めの工房として本場奄美大島紬の生産を支えているほか、約20年前から洋服などのアパレル市場の開拓を開始。現在は息子の志人さんが中心となり、全国のメーカーや作家らと協力して多種多様な製品に伝統技術で付加価値を重ねる商品の提案も行っている。

 

 自身で染めた泥染めの洋服で贈呈式に臨んだ志人さんは「奄美の自然が育んだ伝統文化が評価されたと受け止めている。奄美の泥染めですと言えることがうれしい」と喜んだ。

 

 工房では「泥染め」として一般的なシャリンバイ染液と泥田を用いた染色法のほか、さまざまな植物を使用した新しい泥染め製品の開発も進んでいるという。志人さんは「世間にはさまざまなニーズがあり、技術者としてどう応えていくかが伝統産業全体の課題。多様な挑戦で可能性を広げていきたい」と語った。

 

繊研賞を受賞した金井工芸の金井一人代表(右)と志人さん=31日、龍郷町戸口の金井工芸

繊研賞を受賞した金井工芸の金井一人代表(右)と志人さん=31日、龍郷町戸口の金井工芸