陰性45分、陽性30分で判明 大島病院にPCR検査機器設置

2020年10月03日

社会・経済 

県立大島病院に導入されたPCR検査機器=2日、奄美市

県立大島病院に導入されたPCR検査機器=2日、奄美市

 奄美市名瀬の県立大島病院にこのほど、新型コロナウイルスのPCR検査機器1台が導入された。これまで検体採取から県本土に送るなどして2日以上かかっていた感染結果が約1時間で判定でき、同病院の担当医師は「より早く、感染を広げないための方策がとれる」としている。

 

 奄美群島内ではこれまで、帰国者・接触者外来で採取した検体を、船舶や航空機で県本土の検査機関に運ぶため、結果が出るまでに2~4日かかった。奄美大島5市町村長は6月、「台風接近時は交通手段が絶たれる」として、県にPCR検査機器の配備を求める要望を出していた。

 

 県は6月補正予算に大島病院を含め5カ所の県立病院に検査機器を整備する事業費を計上。大島病院以外の4県立病院にも配置された。

 

 大島病院によると、導入された機器は、従来の複雑な工程と熟練の検査技師でないと運用が難しい機器とは異なり、操作が比較的簡単なのが特徴。一度に4検体の検査が可能で、陰性は45分、陽性は30分で結果が出る。大島病院では臨床検査技師2人が通常の業務の中で行っている。これまでに同機器を使って4件の検査を行い、全て陰性だったという。

 

 一方、PCR検査に必要な検査キットは世界的に不足しており、同病院にも毎月10人分しか入荷しない状況。同病院の検査技師は「離島であるがゆえに優先的に配布してもらっているが、緊急性を要する患者が出たときの備えも必要。万一インフルエンザとの同時流行で検査が必要な患者が増加した場合には、検査キット数が不足することも想定される」と課題を挙げた。

 

 同病院の森田喜紀総合内科部長は「月当たりで検査できる人数は限られているが、院内で検査ができることで院内感染が疑わしいケースや島内で明らかな濃厚接触者が出たときにすぐに検査ができ、対応も早くなる。より感染を広げないための方策がとれるのはすごく大きい」と機器導入の効果を強調。

 

 今冬懸念されるインフルエンザとの同時流行については「PCR検査がたくさんできるから安心というわけではない。必要以上に心配し過ぎるのもよくないが、基本はインフルエンザの予防接種をしっかり受けていただき。マスク、手洗いなど一般的な感染予防策を皆さんに徹底していただくことが大事」と呼び掛けた。

 

 大島病院では9月28日から、無症状のPCR検査希望者に対し、自費での診療も始めた。仕事上、PCR検査の陰性証明などが必要な人を想定。緊急時のPCR検査キットを備えておくため、同検査は従来通り本土に送っての検査とし、結果判明は2日後になる。天候不良などの理由で遅れる場合もある。

 

 料金は診断書込み2万8000円。予約受け付けは月~金曜(祝日を除く)の午後2時半~同4時半。予約、問い合わせは電話0997(52)3611同病院へ。