22年間「ありがとう」 引退に感謝の声相次ぐ 群島各港で別れ惜しむ クイーンコーラル8

2021年11月19日

社会・経済 

森船長(後列右から4人目)とセレモニー参加者=18日、徳之島町の亀徳新港

 22年間、奄美・沖縄航路で活躍してきた「クイーンコーラル8」(マリックスライン=鹿児島市)が18日、最後の航海を迎え、奄美群島各港で引退セレモニーが開かれた。徳之島町の亀徳新港では行政や関係者ら約20人が横断幕で出迎え、森隆船長(48)へ花束を贈呈。長年、群島の物流を支え続けたフェリーとの別れを惜しんだ。

 

 クイーンコーラル8は全長140・81メートル、全幅20・5メートル、総トン数4945トンで旅客定員452人。先代のクイーンコーラル7の後継として1999年9月に就航した。航海速力22ノットとスピードに優れ、今年9月末までに約148万5000人の乗客が利用した。

 

 同船は午後4時40分ごろに亀徳新港に入港。関係者らは「島の夢と希望を運んでくれてありがとう」などと書かれた横断幕で出迎え、徳之島町の幸野善治副町長らが森船長へ花束を手渡した。

 

 マリックスラインによると22年間の就航は同社のフェリーでは最長という。森船長は「最後の航海を皆さんに見送ってもらえて感無量」と感謝を込め、「スピードがあり、遅れが出ても取り戻してくれる船だった。老朽化が進む中、最後まで頑張ってくれた」と長年の就航をねぎらった。

 

 船は午後8時15分ごろ、奄美市の名瀬新港に到着し、30人余りが下船した。就職試験を受けるため、父と2人で来島した徳之島高校3年の當希美さん(17)は「最終便とは聞いていた。部活動の遠征で船旅を楽しんだのが良い思い出。お世話になった」と感謝した。