「近大マグロ」大打撃 台風24号で被災、被害額2億円 瀬戸内町

2018年10月12日

自然・気象

大破、流出した近畿大学水産研究所奄美実験場の浮き桟橋(写真提供=近畿大学)

大破、流出した近畿大学水産研究所奄美実験場の浮き桟橋(写真提供=近畿大学)

 近畿大学は11日、同大水産研究所奄美実験場(鹿児島県瀬戸内町花天)=奄美大島=が台風24号で被災し、養殖していた「近大マグロ」約3700匹(計約38㌧)が死んだと発表した。被害総額は約2億円に上るという。台風21号では大島実験場(和歌山県串本町)も被災し、約1億円の被害が出ていた。

 

 同大によると、台風24号が奄美に接近した9月29日から30日にかけて、海上の八つのいけすを強風と高波が襲い、海水の濁りで視界不良になったことや、波に激しく揺られたことでマグロがパニックに陥り、いけすの網に衝突したことなどが死んだ要因とみられる。ほかにクエ約5千匹も被害を受けた。

 

 倉庫などが高潮で流される被害も出ており、今後の詳細な調査によっては被害額がさらに大きくなる可能性があるという。

 

 近大は2002年に世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功し、04年に出荷を始めた。奄美実験場では出荷サイズ(40㌔以上)に成長したマグロの約半数が生き残ったため、近大マグロを提供する飲食店への影響はないとしている。