自然環境モニタリング講習会 鹿大環境学研究会が主催 奄美市住用町

2021年12月14日

自然・気象

現地で赤外線カメラや自動録音装置を見学したモニタリング講習会=12日、奄美市住用町

地域住民を対象にした自然環境モニタリング講習会が12日、奄美市住用町の奄美市住用総合支所などであった。環境省や民間団体が奄美大島で行っている野生生物の調査を紹介。鹿児島大学の研究者は世界遺産に登録された奄美の自然を守るために、官民学が連携した調査の重要性を強調し、「モニタリングを通して自然に興味を持って」と住民の参加も呼び掛けた。

 

地域住民に野生生物の生息状況などを調査するモニタリングの重要性を知ってもらおうと鹿児島大学鹿児島環境学研究会が主催。オンラインを含め島内外の33人が聴講した。

 

鹿児島大学の鵜川信准教授はアマミノクロウサギなど固有種の分布や動態を見守り続けることで、開発や外来種、観光利用などによる影響を把握し、必要に応じて対策を講じられると強調。「今後はより多くの固有種のモニタリングに発展させていく必要がある」と述べ、地域のNPOや住民、行政、研究機関の相互連携を呼び掛けた。

 

環境省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長はマングース対策などに伴う在来生物の調査について、今後は規模の縮小も見込まれると報告。多様な生き物がすむ世界自然遺産地域で「価値が維持できているかモニタリングしていく必要がある」と述べた。

 

NPO法人奄美野鳥の会の鳥飼久裕会長は約30年続く奄美大島固有のオオトラツグミの調査について、島内外から100人以上が参加する「市民参加型」を特色とする一方、高齢化などによる担い手不足を課題に挙げた。

 

鵜川准教授らは森林内で赤外線カメラや自動録音装置などを使って進める調査手法を紹介。参加者らは同町役勝の世界遺産地域内のモニタリングサイトを訪れ、現地で赤外線カメラが捉えたクロウサギの映像などを確認した。

 

奄美市名瀬の高校教諭、大冨将範さん(43)は「奄美の豊かな自然を体感できた。貴重な自然に携われるボランティアがあれば参加したい」と話した。