4月から掘削開始へ おがみ山トンネル安全祈願祭 工期は27年12月を予定 奄美市名瀬

2025年03月19日

政治・行政

工事期間中の安全を祈願した関係者=18日、奄美市名瀬

交通渋滞の緩和や災害対応の強化などを目的に、奄美市名瀬で整備が進められている国道58号おがみ山バイパスの「おがみ山トンネル」の安全祈願祭が18日、同市名瀬の真名津側坑口であった。施工業者や行政関係者ら約50人が出席して工事の安全を祈願した。工期は2027年12月17日までを予定している。

 

おがみ山バイパス事業は02年度に事業着手していたが、地元の合意形成が不十分として09年度から一時中断。18年に奄美市が県へ整備促進を要望し、未買収地地権者へ市が行った意向確認調査で約9割から賛同を得たことなどを理由に、19年度から事業を再開している。

 

 バイパスの総整備区間は名瀬永田町―名瀬平田町の総延長約1・8キロ。このうち名瀬永田町と名瀬真名津町を結ぶトンネルは延長1225メートルで、真名津町側から掘り抜く計画。完成すれば現国道の慢性的な交通渋滞の緩和、災害時の迂回(うかい)路の確保などの効果が期待されている。

 

おがみ山トンネルは幅員10・46メートル、うち車道部6・5メートル。工期は24年3月に始まり、これまでに地盤改良と擁壁工、盛り土などを行った後、真名津側の坑口正面に騒音低減などを目的とした防音ハウスを整備した。トンネル本体工事の契約金額は約75億円で、バイパス事業全体の事業費は約185億円。

 

神事の後、松藤啓介県大島支庁長が「バイパス整備により、慢性的な交通渋滞の緩和や交通事故の減少、災害時などの迂回路確保のほか、産業振興、交流促進がさらに図られることを期待している」とあいさつ。安田壮平奄美市長は「トンネル完成で時間短縮や走行の快適性、緊急輸送体制の強化など、生活の安全性、利便性の向上に大きく寄与する」と述べた。

 

トンネル掘削は4月に始まり、27年度上半期には貫通する予定。掘削完了後はトンネル内の照明、非常用設備、舗装工事に加え、道路改良工事も進めるため、おがみ山バイパスの完成や供用開始時期は未定という。完成すれば奄美大島内の県管理トンネルでは8番目の長さとなる。