身近な自然環境学ぶ アダン並ぶ護岸など 奄美大島でバスツアー
2025年03月21日
地域

植えられたアダン林の前で自然保護について常田守氏(左から2人目)から学ぶ参加者ら=20日、奄美市笠利町
奄美の自然や環境問題を学ぶ「Amami Deep Tour わきゃシマの『イマ』を廻る」(NPO法人ゆいむすび実行委員会主催)が20日、奄美大島であった。島内の子どもから大人まで13人が参加。奄美市の住用地区と笠利地区をバスで回り、道端に生息する希少な植物や、アダンが植えられ自然保護も考慮された護岸など身近にある自然環境について知識を深めた。
ツアーは奄美群島広域事務組合の「奄美群島の宝を次世代につなぐ助成事業」の助成を得て実施。同事業の目的は、主に18歳以下の子どもを対象に環境学習や保全活動、郷土教育などを推進すること。
同日は奄美自然環境研究会会長の常田守氏(71)が講師を務め、生き物の特徴や人の手が加わることで生じる問題、保護など多様な観点で島の自然を解説した。
同市笠利町の用海岸で常田氏は、同海岸沿いに連なるコンクリート護岸前の砂浜と、護岸前面にアダンが(実験的に)植栽された砂浜の違いを紹介。アダン林により砂の量が保たれ、海岸の植物や生き物が戻ってきている状況を説明し、住民の生命と財産を守ることを前提に、自然保護の観点を含めた工法を採用することの重要性を伝えた。
参加した県立大島北高校2年の赤塚結南さん(17)は、総合的な探究の時間で盗掘や密猟、外来種をテーマにしているといい「チームのメンバーと一緒に参加した。常田さんの『自然は自然がつくる』という言葉が印象的だった。希少な植物の観察など普段できないことを体験できた」と話した。
常田氏は「負の側面だけではなく奄美の自然の素晴らしさを見てほしい。自然保護は反対や賛成というものではなく、その場所の状況に応じてみんなにいいやり方がある」と語った。