災害派遣に備え協定締結 全国初、自治体敷地に自衛隊の物資保管 天城町と陸自奄美警備隊

2025年04月09日

政治・行政

締結式で協定書を手にする森田弘光天城町長(左)と奄美警備隊の長谷川健隊長=8日、天城町役場

天城町と陸上自衛隊奄美警備隊は8日、同隊の災害派遣活動に必要な物資を町内の施設で保管するための協定を締結した。災害などに備え、自衛隊の物資を自治体の敷地内に事前保管するのは全国で初。奄美群島で自衛隊の施設がない〝空白地〟となっている同島での災害派遣活動の補完が目的で、同隊は今月28日には同様の協定を与論町と締結する予定。

 

協定の名称は「天城町防災センターにおける陸上自衛隊奄美警備隊の災害派遣活動用物資集積に係る協定」。8日に町役場であった締結式には関係者約20人が出席し、森田弘光町長と同隊の長谷川健隊長が協定書を交わした。

 

協定によって保管、備蓄するのは隊員用の飲料水と食料。町防災センター裏手の敷地内に設置したコンテナ4基に保管する。保管する量は隊員30人の約1週間分を想定している。

 

長谷川隊長は昨年11月、大雨特別警戒警報が出された与論町に連絡員2人を派遣した際の状況について「連絡員は3日分の食料しか携帯していなかった。仮に長期の活動になっていたら不足する恐れがあった」と報告。

 

さらに「南海トラフ地震など同時多発的な被害が発生する災害が起きた際に奄美の全域で情報収集、救援活動をするためにも物資の備蓄は必要」と説明した。

 

森田弘光町長は「大規模災害時には、防災センターを活動拠点として島民の安心安全確保に尽力してほしい」と協定締結を歓迎し、「小さいながら自衛隊の拠点ができたということは新たな出発点」と今後の自衛隊施設誘致への意欲をのぞかせた。

 

コンテナを設置する土地は約3・7平方メートル。町が無償で奄美警備隊に貸与する。協定期限は来年3月31日までの1年間で、問題がない場合は自動的に同条件で1年間更新される。

町の防災備蓄倉庫(右奥)のそばに設置された資材備蓄用のコンテナ(手前4基)=8日、天城町防災センター