観光、教育、環境の複合拠点へ 宇宿貝塚史跡公園リニューアル SDGs推進目指す 奄美市笠利町
2025年04月23日
地域

内装を一部変更し、リニューアルオープンした宇宿貝塚史跡公園=18日、奄美市笠利町
内装改修のため2024年12月末から休館していた奄美市笠利町の宇宿貝塚史跡公園が18日、リニューアルオープンした。「奄美の縄文生活」の発信や、SDGs(持続可能な開発目標)の推進を目指し、照明の取り換えや展示台・パネルの追加に加え、新たにワークスペースも確保した。同日はプレオープンの位置付け。奄美市は25年度もさらに改修工事を進める予定で、観光、教育、環境の複合拠点として、さらなる利用拡大を図りたい考え。
宇宿貝塚は、笠利町宇宿にある縄文時代から中世にかけての複合遺跡。1986年に奄美群島で初めて国史跡に指定された。
宇宿貝塚史跡公園は宇宿貝塚の真上に整備された施設。発掘調査で発見された遺構などを露出展示している。縄文時代の石組竪穴建物跡をはじめ、各時代の生活面を調査当時のまま保存・公開している。
24年度は事業費約2860万円をかけ▽施設の照明の取り換え▽学び、体験、交流のためのワークスペース設置▽新たな展示台やパネル設置▽2台のモニター導入による施設情報などの発信(デジタルサイネージ)▽施設ウェブページの改修▽新たなガイドブック発行│などを行った。24年度の内閣府「自治体SDGsモデル事業」採択を受け、国の補助金を活用した。
これまで施設全体を照らしていた照明器具をスポットライトに変更。遺構やパネルに光を当て、来館者の目を引くようにした。ワークスペースは休館中の3月、地元の子どもたちを対象に試験的に運用。ワークショップを開いて、同施設の入口に展示されている、貝がらを使った壁面アートを作成した。
市は25年度、宇宿貝塚史跡公園観光拠点再整備事業として一般会計当初予算に約1億5千万円を計上。具体的には、老朽化した施設の屋根・壁面の改修のほか、発掘体験ができるコーナーを設ける。
特殊な映写機で立体物に映像を投影する「プロジェクションマッピング」や、コンピューター上の仮想空間を疑似体験できる「VR(仮想現実)」といった技術を生かしたブース設置も検討している。
改修工事は25年10月~26年3月ごろを予定。期間中、施設は再び休館し、26年4月に改めてオープンを見込む。
奄美市文化財課は「今回はあくまでリニューアルの第1段階。史跡の保存活用や、SDGsのさらなる推進に向けて、文化財課だけでなく、プロジェクト推進課など各課と協力しながら宇宿貝塚史跡公園の再整備を進めていく」としている。
入館料は休館前と同じく、一般200円、大学・高校生100円、中・小学生50円。開館時間は午前9時~午後5時。毎週月曜日と祝祭日の翌日が休館日。