奄美大島 徳之島  世界自然遺産へ IUCNが「登録」勧告

多様な動植物を育む照葉樹の森=2021年3月、奄美大島

多様な動植物を育む照葉樹の森=2021年3月、奄美大島

 環境省は10日、世界自然遺産登録を目指す「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)が登録するよう勧告したと発表した。2018年5月の「登録延期」勧告からの再挑戦。7月16~31日にオンラインで開かれる世界遺産委員会で正式に決まる見通し。登録されれば国内では小笠原諸島(東京都)以来10年ぶり、5件目の世界自然遺産となる。


 奄美・沖縄をめぐっては、政府が17年2月、ユネスコに推薦書を提出。IUCNは前回、現地調査の結果、推薦地の分断などによって希少な動植物の保護が十分でないとして「登録延期」を勧告した。


 政府はいったん推薦を取り下げた後、沖縄島北部の米軍北部訓練場返還地の編入など、勧告を踏まえて24カ所に分断された区域を5カ所にまとめ、19年2月に再推薦した。


 再推薦区域は前回より約4700㌶増の4万2698㌶(奄美大島1万1640㌶、徳之島2515㌶、沖縄島北部7721㌶、西表島2万822㌶)。遺産の価値を示す評価基準(クライテリア)は「生物多様性」を挙げ、「国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性の保全上、重要な地域」と強調した。


 再挑戦に向けて、奄美大島や徳之島では、希少動物を襲って生態系を脅かす野生化した猫(ノネコ)の対策や、観光客の増加を見据えた利用規制の試みなど、IUCNが指摘した課題への取り組みが進んだ。


 19年10月の再調査を経て、20年に再び勧告が出される予定だったが、登録審査を予定していた夏の世界遺産委員会が新型コロナウイルスの影響で延期されたことに伴い、勧告も先送りされた。


 世界遺産委員会では委員国21カ国が勧告を踏まえて審議し、登録の可否を決める。IUCNが登録を勧告したことで、そのまま認められる可能性が極めて高くなった。


 日本の世界自然遺産は白神山地(青森、秋田)、屋久島(鹿児島)、知床(北海道)、小笠原諸島の4件。今のところ奄美・沖縄の他に推薦の予定はなく、登録されれば国内最後の世界自然遺産になるとみられる。