クロウサギ保護で協力 環境省と関係機関が連携協定 救護や啓発活動など
2025年04月02日

クロウサギ保護で協力 環境省と関係機関が連携協定 救護や啓発活動など
環境省沖縄奄美自然環境事務所や大和村、奄美・徳之島の動物病院など官民6機関は1日、「アマミノクロウサギの傷病救護及び普及啓発等の推進に関する連携協定書」を締結した。交通事故などに遭ったクロウサギの救護や野生復帰に向けたリハビリ、生体を活用した住民への普及啓発活動などで協力する。
協定書締結者は環境省、平川動物公園のある鹿児島市、研究飼育施設が今月開所予定の大和村と、奄美いんまや動物病院(龍郷町)、奄美野生動物医学センター(奄美市名瀬)、徳之島動物病院(徳之島町)の6機関。これまでも協力してクロウサギの保全に取り組んできたが、今後の連携体制を継続的に確保するとともに役割分担や個体の所有権、占有の取り扱い等を明文化する目的で協定書を交わした。
アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島にのみ生息する国の特別天然記念物。マングースやノネコ(野生化した猫)などの外来種や森林伐採などの影響で一時存続が危ぶまれていたが、外来種対策や森林の回復に伴い近年生息数や生息域が回復してきている。
環境省の2021年の推定個体数は奄美大島で1万24~3万4427匹、徳之島で1525~4735匹。一方、両島で犬や猫による捕食が発生しているほか、交通事故が多発。また、観光利用の増加によって今後、感染症の持ち込みや観察ストレスによる影響が出る可能性もあるという。
協定内容は①アマミノクロウサギの救護・回収、治療・リハビリ、野生復帰、終生飼養個体の管理②生態展示をはじめとした普及啓発③1、2の取り組みで得られた情報や研究成果の共有・管理④ほか保全に必要な事項―の4点。各機関で役割を決めて連携し、年に1度情報交換の場を設定する。
大和村の研究飼育施設「アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru(くるぐる)」は今月20日にオープンする。環境省奄美群島国立公園管理事務所の鈴木真理子希少種保護増殖等専門員は「奄美の中で生体の展示が始まることで、事故やペットの適正飼養への意識がより高まることを期待している。関係機関で今後も連携して保護保全に取り組みたい」と話した。