ノネコのクロウサギ捕食報告 虹の会の美延事務局長 外来種テーマにシンポ 志布志市
2019年02月18日
【鹿児島総局】人為的に持ち込まれた外来種に対する正しい知識を広めようと、県主催の「かごしま生物多様性シンポジウム」が16日、志布志市の有明地区公民館であった。有識者による事例発表やパネルディスカッションがあり、NPO法人「徳之島虹の会」の美延睦美事務局長が地元の自然保護活動について報告。猫が捨てられて野生化したノネコによる希少野生生物の捕食事例を説明し、正しいペットの飼い方も含めた住民の意識向上を訴えた。
シンポジウムは「もっと外来種のことを知ろう!」をテーマに開かれ、地域の親子連れなど約200人が訪れた。
美延事務局長は、奄美・沖縄の世界自然遺産登録への取り組みが地元で進む一方、住民が生花店で購入して捨てたポトス(和名・オウゴンカズラ)が野外でも繁殖している現状を報告。
外来種に対する知識不足が大きな要因と問題視し、「外来種対策を含めた自然環境の保全には、地元の人たちが地域を知り、守り、伝えたいと思うことが重要」と述べた。
「外来種から本県の豊かな生物多様性を守るために」と題したパネルディスカッションでは、定点カメラのデータに基づき森の中を移動するノネコの行動範囲の広さを説明。1匹のノネコがアマミノクロウサギを複数回、捕食したとみられる事例も報告し、希少野生生物への影響の大きさを指摘した。
他の有識者らも、「悪いのは外来種ではなく、外来種問題をつくった人間であることを認識すべき」「一度飼った動植物は、死ぬまで面倒をみることが大事」などと強調。来場者に、外来種問題の正しい理解を通じて生物多様性の保護に取り組む大切さを訴えた。
パネルディスカッションや事例発表に先立ち、静岡大学教育学部講師の加藤英明氏が講演。ペットとして飼われていた亀やは虫類が捨てられて、生態系や自然環境に悪影響を及ぼす恐れも分かりやすく解説した。