クロウサギの事故防ごう 11月まで啓発キャンペーン/「夜間の運転注意して」/奄美大島・徳之島

2022年09月17日

ロードキルが急増しているアマミノクロウサギ(資料写真)

国の特別天然記念物アマミノクロウサギのロードキル(交通事故死)防止に向けたキャンペーンが15日、生息地の奄美大島と徳之島で始まった。両島で発生したロードキル件数は2年連続で過去最多を更新し、歯止めがかからない状態となっている。クロウサギの活動が活発になる繁殖期を迎えて、環境省奄美野生生物保護センターは「夜間は特に注意して、ゆとりのある運転を」と呼び掛けている。

 

アマミノクロウサギは両島の固有種。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類。野生生物を襲うマングースの駆除や、野生化した猫(ノネコ)の捕獲など、保護対策が進んで生息状況が回復したことで、近年ロードキルが急増している。

 

環境省によると、両島では2015年以降、ロードキルの増加傾向が続き、20年に70件(奄美大島54件、徳之島16件)、21年に78件(同61件、17件)と最多を更新した。

 

22年は8月末時点で奄美大島54件、徳之島19件と前年同期(奄美大島32件、徳之島10件)を大幅に上回るペースで発生ししている。奄美野生生物保護センターは「両島ともに最多を更新する可能性が非常に高い」と危機感を示す。

 

ロードキル防止に向けたキャンペーンは、クロウサギの活動が活発になる毎年秋ごろに環境省が実施している。今年は11月15日までの2カ月間。奄美大島世界遺産センター(奄美市住用町)で10月10日にリーフレットを配布して、住民や観光客に安全運転を呼び掛けるほか、ラジオ、自治体の広報誌での啓発や、公共、観光施設へのポスター掲示などを展開する。