クロウサギ事故、大幅増 奄美大島、徳之島で147件 犬、猫の捕殺も確認 22年・環境省

2023年03月29日

交通事故が多発しているアマミノクロウサギ

環境省は28日、世界自然遺産に登録された奄美大島と徳之島で2022年に回収された希少動物の死骸の数と死因をまとめ、発表した。国の特別天然記念物アマミノクロウサギの死骸は236件。このうちロードキル(交通事故死)は147件で、過去最多だった前年(81件)の約1・8倍と大幅に増加した。山中の林道だけでなく、国道や県道など住民が日常的に利用する道路でも事故は多発しており、同省は夜間の運転に十分注意するよう呼び掛けている。

 

アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島の固有種。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類。両島では近年、ロードキルが急増し、歯止めがかからない状況となっている。マングースの駆除や野生化した猫(ノネコ)の捕獲など、保護対策が進んで生息状況が回復したためとみられている。

 

22年の島別のロードキル件数は奄美大島107件、徳之島40件。それぞれの島で過去最多だった21年の62件、19年の21件を大幅に上回った。

 

クロウサギ以外にも、ロードキルは国の天然記念物ケナガネズミが30件(奄美大島21件、徳之島9件)と、最多だった19年の21件(同14件、7件)を上回った。アマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミはそれぞれ2件だった。

 

犬や猫による捕殺も両島で確認され、アマミノクロウサギが28件(奄美大島15件、徳之島13件)、ケナガネズミが13件(同11件、2件)だった。

 

 

奄美大島では、奄美市住用町の市道三太郎線で22年2~3月の1カ月間に、猫に捕殺されたとみられるクロウサギが3件、ケナガネズミが2件、相次いで見つかった。徳之島では中南部の剥(はげ)岳林道で同年3月、犬に捕殺されたとみられるクロウサギが3件確認された。

 

両島の山中に設置された自動撮影カメラには、希少動物をくわえたノネコの姿も複数記録されており、環境省奄美群島国立公園管理事務所は、ペットの犬や猫は室内で飼うなど、住民に適正飼養の徹底を求めている。