クロウサギ事故 過去最多 21年、交通事故多発 奄美大島と徳之島

2022年01月27日

交通事故が多発しているアマミノクロウサギ

環境省は26日、奄美大島と徳之島で2021年に確認された希少動物の死体数と死因内訳を発表した。国の特別天然記念物アマミノクロウサギの死体確認数は計171件。うち、交通事故での死亡件数は奄美大島が過去最多の56件、徳之島は過去2番目に多い17件の計73件だった。また、両島で犬や猫によるものと思われる捕殺事例も確認されており、同省は夜間の運転に十分注意するとともに、ペットの飼養管理の徹底を呼び掛けている。

 

アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島の固有種。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類。両島では15年以降、交通事故の増加傾向が続き、21年は死亡件数が奄美大島で過去最多だった20年(50件)を上回った。徳之島では、分布の辺縁部やこれまで生息が確認されていなかった場所での事故が増加し、最多だった18年(19件)に次ぐ17件に上った。

 

国の天然記念物ケナガネズミの交通事故は計9(奄美大島8、徳之島1)件。アマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミはそれぞれ2件だった。

 

このほか、犬や猫による捕殺事例の確認数は、奄美大島でアマミノクロウサギ13件、ケナガネズミ8件、アマミトゲネズミ1件。徳之島ではアマミノクロウサギ10件、ケナガネズミ1件、トクノシマトゲネズミ8件だった。

 

近年は山中の林道だけでなく、交通量の多い国道や県道などでも野生生物の事故が発生している。特に増加が目立つのは、奄美大島では▽瀬戸内町の町道網野子峠線、宇検村と瀬戸内町をつなぐ県道85号線、県道12号線(役勝篠川線)など。徳之島では▽県道618号線(松原轟木線)、県道629号線(手々金見間線)など。

 

環境省は交通事故が多発している道路に標識などを設置して、ドライバーに注意喚起している。奄美野生生物保護センターは「事故が多い道路では、野生動物が急に飛び出してきてもすぐに止まれる速度で運転してほしい。特に夜行性動物が活動する夜間はゆとりのある運転をお願いしたい」としている。