マングース5年捕獲ゼロ 根絶目前、情報提供呼び掛け 奄美大島での防除事業 環境省

2023年09月07日

奄美大島で捕獲されたマングース=2012年6月、大和村の環境省奄美野生生物保護センター

環境省は6日までに、奄美大島で進めている特定外来生物マングースの防除事業の2022年度実績をまとめた。わなや探索犬によるマングースの捕獲はなく、捕獲ゼロの状態が約5年にわたって続いている。同省は「生息は極めて少ない状態か根絶できている状態」とみており、早ければ23年度中の「根絶宣言」に向けて作業を進めている。

 

奄美大島のマングースは1979(昭和54)年にハブやネズミの駆除を目的に奄美市名瀬で約30匹が放され、急速に分布域を拡大。推定生息数はピーク時に1万匹まで増え、アマミノクロウサギなど希少な在来生物を捕食して生態系に深刻な影響を及ぼした。

 

各市町村が有害鳥獣として1993(平成5)年に捕獲をスタートし、環境省は2000(平成12)年に駆除を本格化。05(平成17)年に外来生物法に基づく防除事業を開始し、捕獲を担うマングースバスターズを配置して駆除を進めた。

 

捕獲総数は約3万2千匹。防除が進んで捕獲数は次第に減少し、18(平成30)年4月に1匹が捕獲されて以降、捕獲ゼロの状態が続いている。

 

22年実績報告によると、島内に設置した捕獲用のわなは約968基を撤去して2万1633基。わなや探索犬による捕獲はなく、548地点の自動撮影カメラでもマングースは撮影されなかった。住民から7件の目撃情報が寄せられ、調査を行ったが、生息は確認されなかった。

 

23年度もわなや探索犬、自動撮影カメラによるモニタリング調査を継続する。今後は研究者らがこれまでの情報を基に算出した根絶確率を評価し、判断する。合わせて、環境省は住民からのマングースの目撃情報収集を続ける。

 

同省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「万が一ということもあるのでぜひ情報を寄せてほしい。監視の目を光らせ、マングースの根絶を住民みんなで見届けよう」と呼び掛けている。

 

情報提供は電話0997(55)8620環境省奄美群島国立公園管理事務所・奄美野生生物保護センターへ。