クロウサギ輪禍か 山中に死骸、ケナガネズミも 奄美大島

2021年09月01日

世界自然遺産

大和村の村道で死んでいるのが見つかったアマミノクロウサギ(提供写真)

 奄美大島の山中で8月29日朝、国の特別天然記念物アマミノクロウサギと天然記念物ケナガネズミの死骸が相次いで見つかった。環境省奄美野生生物保護センターによると、クロウサギは路面に引きずられたような跡があり、交通事故に遭った可能性が高い。ケナガネズミの死因は今のところ分かっていない。

 

 29日午前8時ごろ、大和村志戸勘の村道湯湾岳線で、バードウオッチングをしていた宇検村宇検の会社員男性(48)が道路脇に横たわっているケナガネズミを発見。約1・4㌔離れた地点でクロウサギも見つけた。連絡を受けた奄美野生生物保護センターの職員が死骸を回収した。

 

 同センターによると、2匹の死骸は腐敗や損壊が進んでおらず、前日夜から朝にかけて死亡したとみられる。クロウサギは鼻と口から出血しており、何らかの衝撃を受けた可能性がある。ケナガネズミはカラスにつつかれた跡があったが、他に目立った外傷はなかった。同センターで死因を調べる。

 

 世界自然遺産に登録された奄美大島ではクロウサギの交通事故が多発しており、大きな課題となっている。2020年は過去最多の50件を記録。21年は7月末時点で23件と前年同期の22件を上回っている。

 

 同センターの阿部愼太郎所長は「クロウサギの交通事故は多発傾向が続いている。島に住んでいる一人一人の協力が必要。夜間の運転には十分気をつけてほしい」と呼び掛けた。

大和村の村道で死んでいるのが見つかったケナガネズミ(提供写真)