住用・役勝川で激減 1万4千匹余、前年の6割 リュウキュウアユ数値検討会 奄美大島

2023年12月10日

リュウキュウアユ個体数の推移(11月)

奄美リュウキュウアユ保全研究会(会長・四宮明彦元鹿児島大学教授)は9日、奄美市住用総合支所で奄美大島のリュウキュウアユ数値検討会を開いた。今年11月の個体数調査の結果は1万4681匹で、前年比8962匹の減。生息数の多い役勝川では過去2番目に少なかったことが報告された。同会研究員で鹿児島大学水産学部の久米元准教授は「役勝川は10月の大雨が影響したのかもしれない。個体数の急激な増減は過去にもあるが、今後も注意して見ていく必要がある」と話した。

 

リュウキュウアユは奄美大島だけに天然の個体群が残る。環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類。個体数調査は鹿児島大学と琉球大学などが毎年実施しており、稚魚が海から川へ上る春(5月)の遡上(そじょう)個体数と、産卵のため川の下流に集まる繁殖期(11月)の親魚数を潜水し数える。今年は5月13~14日に主な生息域である役勝、住用、川内、河内の主要4河川とその他5河川、11月12~14日に主要4河川とほか6河川で調査した。

 

11月調査の主要河川別の確認数は、役勝川2187匹(前年比1万5822匹減)、住用川1480匹(同379匹増)、川内川4039匹(同2602匹増)。太平洋側とは遺伝子が異なる個体群が生息する東シナ海側の河内川では6711匹(同3738匹増)だった。

 

検討会ではこれまでの調査結果から、稚魚の生息域の海水温と翌春の遡上数が関連しているほか、東シナ海側と太平洋側で遡上数増減のメカニズムが異なる可能性が示唆された。久米准教授は「生物学的に貴重なリュウキュウアユは地元の協力と保全活動で個体数が保たれている状況。今後も調査を継続し、個体数増減の理由や生態を明らかにしていきたい」と語った。