固有種アマミアワゴケ盗掘か 奄美大島

2018年09月26日

★アマミアワゴケ(盗掘前) 奄美大島の山中で25日までに、絶滅の恐れのあるアマミアワゴケがなくなっていることが分かった。環境省奄美自然保護官事務所によると、複数の剥ぎとられたような跡があり、盗掘された可能性が高い。現地は奄美群島国立公園の特別保護地区内で、全ての植物の採取が禁止されている。同事務所は「盗掘、盗採が相次いでいる。関係機関と協力して対応を強化したい」としている。

 

 アマミアワゴケは奄美大島固有のアカネ科の多年草。渓流沿いのこけむした岩上に生え、初夏に8ミリほどの白い花を咲かせる。1995年に発見され新種と判明した。

 

 森林伐採などで減少し、環境省のレッドリストで、ごく近い将来絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧IA類に位置付けられている。奄美大島5市町村は条例で希少野生植物に指定して採取を禁じており、違反した場合は1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。

 

 現場は奄美市住用町の山林内。今年6月まで同種が確認されていたが、9月初旬ごろまでになくなっていたという。地元の自然保護関係者からの情報提供を受けて、環境省の担当者らが19日に現地を訪れた。アマミアワゴケが生えていた岩場に、直径約10~40センチの円状に剥ぎとられたような複数の跡を確認した。

 

 奄美自然保護官事務所の千葉康人上席自然保護官は、盗掘防止に向けて監視カメラの設置やパトロールの強化を進める方針を示し、「地元関係者が大事に守ってきた貴重な植物。盗掘は許されない行為。地域の宝である奄美の自然を一丸となって守っていきたい」と述べた。

現地に自生していたアマミアワゴケ(上)と盗掘されたとみられる跡(環境省奄美自然保護官事務所提供)

現地に自生していたアマミアワゴケ(上)と盗掘されたとみられる跡(環境省奄美自然保護官事務所提供)