外来カエル繁殖を防ごう 大学生ボランティアが活躍 徳之島

2023年08月26日

外来カエルの繁殖防止で、除草やごみ拾いに汗を流す学生ボランティア=25日、徳之島町諸田

【徳之島総局】徳之島への侵入が確認され、生息域の拡大が懸念されている特定外来生物シロアゴガエルの駆除で大学生ボランティアが活躍している。8月13日以降、25日までに帝京科学大学(東京都)の2~3年生6人が来島して成体の駆除や卵巣の回収に協力。10月中旬までに5大学から計11人の参加が予定されている。

 

シロアゴガエルは今年5月に徳之島町で成体や卵が見つかった。7月までの調査で徳之島町、伊仙町など徳之島の中南部約30カ所で生息が確認された。メレンゲ状の泡巣(卵塊)からは約400匹の幼生が生まれるなど繁殖力が強く、人畜に害はないものの餌や生息地の競合で在来種のカエルを脅かす恐れがある。

 

環境省から駆除作業を受託している「徳之島虹の会」によると、既に400匹以上の成体と泡巣1100個以上を駆除しているが終息は見えない状況。同会がゆかりのある研究者や大学関係者に協力を求め、夏季休暇を利用した大学生のボランティアが実現した。

 

シロアゴガエルは夜行性のため、日中は泡巣の回収や水辺の除草、ごみ回収などがメイン。夜は午後9時から午前0時にかけて成体を捕獲している。25日午前は島内最大の繁殖地とみられる徳之島町諸田池で作業を開始。学生6人が泥に漬かりながら除草やごみ拾いに汗を流した。

 

同大2年の吉田雄真さん(19)は「大学の先生の紹介でボランティア参加を決めた。暑さの影響もあって作業は大変だが世界自然遺産の島を守るためなのでやりがいを感じる。駆除だけでなく島の伝統行事にも参加させてもらうなど楽しんでいる。動植物が好きなので島にいるうちにハブを見たい」と話した。

 

徳之島虹の会の美延睦美さんは「駆除の費用や人手も不足しており、学生たちの旅費は自己負担。それでも遠くから参加してくれてとてもありがたい。徳之島では駆除が最大の目的ではあるが、この経験を生かして世界で活躍する人材になってほしい」と目を細めた。