外来植物の分布拡大懸念 センダンキササゲのまん延危惧 試験駆除経過などを観察 奄美の自然を考える会

2024年01月15日

国道沿いに生育し、枯れたさや状の果実が目立つセンダンキササゲ=14日、龍郷町

「奄美の自然を考える会」(森山力藏会長)は14日、龍郷町の国道沿いや山間部などで、外来植物「センダンキササゲ」の分布状況や、昨年11月に環境省などと共に行った駆除作業の経過状況を確認した。近年は奄美大島でも分布域が広がりつつあり、一部地域では奄美大島の固有種「アマミクサアジサイ」の自生地も脅かされているとして、参加者からは拡大防止へ向け駆除継続を訴える声も聞かれた。

 

経過確認は、同会主催の自然観察会と合わせて実施。約30人が参加した。

センダンキササゲは台湾や中国南部などが原産地で、成長が早く高さ10メートル以上になるノウゼ

試験駆除した個体の経過を観察する参加者ら=14日、龍郷町

ンカズラ科の常緑樹。果実はさや状で種子の数も多く軽いため、風や鳥類による分布の拡大が懸念されている。

 

幼木は観賞用に流通しており、同会などは人為的に持ち込まれた可能性を指摘。島内では龍郷町のほか、奄美市笠利町や名瀬市街地で確認されている。

 

同会は2020年3月、「奄美シダ類研究会」と「奄美野鳥の会」と連名で、環境省と奄美市、龍郷町に対して、実態調査と早期駆除を求める要望書を提出。情報交換などを経て、23年11月に同町内2カ所でセンダンキササゲの幹をのこぎりで切断し、切り株に除草剤を注入するなどの駆除作業を試験的に実施した。

 

14日は、同町の国道沿いでは枯れたさや状の果実を付けた成木が目立った。山間部では、親木近くで幼木が育っている状況が確認されたほか、参加者らは試験駆除した個体の切り株から新たな芽が出てきていないことなどを確認した。

 

同会の原千代子理事(68)は「龍郷町の一部ではすでにまん延しており、アカギのように島内全体に広まらないか恐れている。分布域の拡大防止のために、駆除を継続したい。環境省や自治体に協力していきたい」と話した。