希少種保護へ夜間巡視 盗掘・盗採防止で監視強化 関係機関が合同実施 奄美大島

2022年09月16日

盗掘・盗採防止に向けてパトロールする関係者ら=13日、奄美大島(環境省提供)

世界自然遺産の奄美大島で希少な動植物の盗掘・盗採を防止しようと、関係機関による合同パトロールが13日夜にあった。各機関の担当者らが島北部を巡回して、密猟者や不審な車両に目を光らせた。希少なクワガタなどの活動が活発になる10月ごろにかけてパトロールを継続し、監視を強化する。

 

パトロールは環境省、林野庁、鹿児島県、島内5市町村で組織する奄美大島自然保護協議会、警察などが合同で実施。同日は6人が参加し、国立公園区域や林道沿いで約2時間、昆虫採集用のトラップ(わな)の有無や不審者がいないかなどを見回った。

 

奄美大島では昨年8月、自然公園法に基づきすべての動植物の捕獲や採取が禁止されている奄美群島国立公園の特別保護地区で、世界遺産区域となっている山中で違法な昆虫トラップが見つかっている。

 

環境省によると、島内では本年度、国立公園内に無許可で設置された昆虫トラップが3件見つかり、関係機関が回収した。奄美空港(奄美市笠利町)では8月、観光客が国の天然記念物で、島内5市町村が希少種保護条例で捕獲を禁止しているオカヤドカリ2匹を、島外へ持ち出そうとした事案も確認されている。

 

同省奄美群島国立公園管理事務所の田口知宏国立公園管理官は「不審な案件が継続して発生している。迅速な対応を強化し、関係機関と連携して密猟撲滅を図りたい」と述べた。