希少種保護へ監視強化 密猟・密輸の対策協議 官民関係者ら連絡会議

2023年01月27日

オンラインで開催された密猟・密輸対策連絡会議の参加者ら=26日

奄美群島の希少な動植物の違法採集や島外への持ち出し防止に向けた「密猟・密輸対策連絡会議」の会合が26日、オンラインで開かれた。官民の関係者約30人が参加。奄美大島で発生した希少植物の盗掘や、空港から大量の野生生物が持ち出された事案の報告があった。環境省は希少種を識別するアプリケーションを活用した空港での水際対策など、関係機関と連携した監視強化に取り組む方針を示した。

 

会議は相次ぐ盗掘や密猟を受けて、希少種の保護対策の強化を目的に奄美と沖縄でそれぞれ設立された。奄美では環境省、県、警察、海保、税関、航空会社など14機関で構成。会合は2019年3月、20年11月に続き3回目。

 

野生動植物の違法採取や、島外への持ち出し事案について環境省から報告があった。奄美大島では21年10月、島内5市町村が条例で採取を禁止しているラン科のダイサギソウの盗掘被害が発覚。奄美空港で同年7月以降、シリケンイモリやアマミアオガエルなど、法令で規制対象となっていない生き物が大量に持ち出される事案が発生した。

 

沖縄で発覚した希少なイボイモリのインターネット取引や密輸事件の報告もあった。

 

密猟、密輸の防止対策に関する協議は非公開で行われた。環境省によると、同省が開発を進める希少種識別アプリを空港で活用していくことなどを確認。空港関係者から、アプリの使い方を学ぶ研修会の要望があったという。

 

同省沖縄奄美自然環境事務所の担当者は「一番のネックは(関係機関の)ほとんどの人が生き物に詳しくないため、すぐに違法かどうかが分からないこと。解決に向けてマニュアルの整備やアプリの開発を進めたい」と述べた。