希少鳥類の生態学ぶ 奄美博物館で自然講座

2018年12月19日

希少鳥類について講話した関さん=17日、奄美市名瀬

希少鳥類について講話した関さん=17日、奄美市名瀬

  奄美市立奄美博物館の自然講座が17日、奄美市名瀬の同博物館であった。国指定天然記念物の野鳥、アカヒゲとオーストンオオアカゲラについて専門家2氏が講話した。市内外から愛鳥家ら約60人が参加し、希少鳥類の生態や進化について学んだ。

 

 講座は世界自然遺産登録に向けて、生物多様性に関する理解を深めてもらおうと開催。講師は国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所関西支所主任研究員の関伸一さん(47)、同研究所九州支所主任研究員の小高信彦さん(47)。

 

 関さんは「アカヒゲが渡ってつなぐ琉球の島々」をテーマに講話した。1821年頃の書籍「飼籠鳥(カイコドリ)」(佐藤成裕著)に記載されたアカヒゲを紹介。「江戸時代に江戸近辺で奄美や沖縄のアカヒゲが飼育されていた。鳴き声の美しい鳥として有名だった」とした。

 

 トカラ列島から沖縄諸島までのアカヒゲの遺伝子研究結果などを基に▽トカラ列島、奄美大島、徳之島、沖縄の4集団に分かれる▽中之島(トカラ)と与那国島(沖縄県)で同じ個体を確認▽トカラ列島の集団のみが渡り鳥―と考察した。

 

 小高さんは「中琉球の固有種オーストンオオアカゲラの進化と保全」について講話した。オーストンオオアカゲラは▽奄美大島の固有種▽全長28㌢前後で世界最大のオオアカゲラ▽頭の色が雄は赤、雌は黒―などの特徴を説明した。

 

 奄美大島のオーストンオオアカゲラについて、「北海道付近のオオアカゲラが過去数万年程度の比較的短時間で分化した」とした上で、「奄美大島は新しい鳥が生まれる島」と語った。

 

 奄美市名瀬の崎原小3年の保枝志琉君(9)は「トカラのアカヒゲが渡り鳥と聞いてびっくりした。中之島に行ってみたい」と話した。

 

 講座は独立行政法人環境再生保全機構の「世界自然遺産のための沖縄・奄美における森林生態系管理手法の開発」の一環であった。

希少鳥類について講話した小高さん=17日、奄美市名瀬

希少鳥類について講話した小高さん=17日、奄美市名瀬