徳之島町畦海岸で猛毒イソギンチャクを駆除

2019年04月25日

猛毒を持つウンバチイソギンチャク=徳之島町の畦海岸(興克樹さん提供)

猛毒を持つウンバチイソギンチャク=徳之島町の畦海岸(興克樹さん提供)

 徳之島町の畦海岸で今月、猛毒を持つウンバチイソギンチャクが大量に発生しているのが見つかった。刺されると激しい痛みを伴う湿疹ができ、長期の治療が必要になることもあるという。町は5月5日の海開きを控えて15~17日に駆除作業を行い、1260匹を回収して浜に埋めた。駆除に協力した奄美海洋生物研究会の興克樹会長は「見つけても絶対に触らず、その場から離れてほしい」と注意を呼び掛けている。

 

 海洋生物研究会によると、ウンバチイソギンチャクは内湾に生息し、体の表面に毒を持つ刺胞の詰まったカプセルがあり、刺激を与えると水中に分散させる。奄美近海ではまれに見られ、奄美市名瀬の大浜海岸、同市住用町の和瀬海岸で各1匹の記録がある。大量発生は世界的にも例がないという。

 

 畦海岸では今月1日までに、サンゴ礁の調査をしていた県希少野生動植物保護推進員の池村茂さんが、沖合約50㍍付近、約10㍍四方の浅い海域で、死滅した枝サンゴのがれきを覆った集団を確認。連絡を受けた町は海水浴客らの安全を図るため、海開き前に駆除を実施した。

 

写真2+-+2019-04-16+11-54-47 駆除を行ったのは池村さんと地元の漁業関係者ら6人。刺胞の分散を避けるため、イソギンチャクが付着したサンゴごと柄の長いはさみで採取し、水中で土のう袋に入れて回収。礁池内のほぼ全ての個体を駆除した。

 

 回収したウンバチイソギンチャクは直径10~20㌢。死滅したサンゴの上部のほか海底の砂の上でも確認された。大発生は同海岸で2016年に起きた大規模な白化現象によって、死滅したサンゴが増えたことが原因とみられる。

 

 イソギンチャクは体の表面の色や形が死滅して白くなったサンゴとよく似ており、見分けがつきにくい。興会長は「むやみにサンゴのがれきに触れず、海水浴では肌の露出を避けたほうがいい。刺された場合は刺胞を海水で洗い流して応急処置をしてほしい」と注意を促した。

 

 町は5月3、4日に調査を行い、安全を確認した上で海開きを行う。担当者は「定期的に発生がないか確認し、見つかった場合は随時駆除を行う」としている。