新種のゴキブリ2種発見 鹿大など研究チームが公開 南西諸島

2020年11月26日

 新種のアカボシルリゴキブリ(左)とウスオビルリゴキブリ(柳澤静磨氏撮影)

新種のアカボシルリゴキブリ(左)とウスオビルリゴキブリ(柳澤静磨氏撮影)

  鹿児島大学などの研究チームは24日、南西諸島で新種のゴキブリ2種を発見したと発表した。青みがかった光沢がある体にだいだい色の紋を持つのが特徴。うち1種は奄美大島と徳之島に分布し、「アカボシルリゴキブリ」と名付けられた。国内でゴキブリの新種が確認されたのは35年ぶりで計59種になった。

 

 鹿児島大学農学部の坂巻祥孝准教授と、竜洋昆虫自然観察公園(静岡県)、法政大学の研究チームが、日本動物学会が発行する学術誌「ズーロジカル・サイエンス」のオンライン版で同日公開した。

 

 2種は南西諸島から東南アジアにかけて分布するルリゴキブリ属。もう1種は「ウスオビルリゴキブリ」と命名された。害虫として知られるゴキブリのうち、人家に出現するのは1割程度で、多くは森林などに生息している。ルリゴキブリ属も朽ち木の中などで生活しており、人との関わりはほとんどないという。

 

 アカボシルリゴキブリは、2島のほか宇治群島の家島、トカラ列島の悪石島に分布。雄の全長12~13ミリ。羽に三つの紋がある。ウスオビルリゴキブリは沖縄・与那国島のみに生息。雄の全長12・5~14・5ミリ。羽に帯状の紋がある。

 

 坂巻准教授は2005年、無人島の家島で、今回新種と分かったアカボシルリゴキブリの幼虫を採集して調べたが、種の判別には至らなかった。研究チームとして18年から、南西諸島などで捕獲した118匹のルリゴキブリの形態を分析。DNA解析を行った結果、2種が新種と分かった。

 

 今回の発見について、「ルリゴキブリは生きた化石といわれるゴキブリの中でも、一番古い形を保っている。南西諸島の生物の進化の過程と、島の成立の関係を推測する上で大事な種の一つ。小さな島に、どうして多様な生物がいるのかを探る鍵となる発見だ」と述べた。