盗採盗掘防止で合同パト 徳之島地区自然保護協議会

2022年04月30日

昆虫わなが仕掛けられていないか確認するパトロール員=28日、天城町天城の林道

徳之島の希少野生動植物の盗採、盗掘防止に向けた関係機関、団体の合同パトロールが28日、島内一円であった。徳之島地区自然保護協議会、県、徳之島3町、環境省、徳之島警察署などの関係機関から29人が参加。6班に分かれて自然保護地区などを中心に、不審車両や昆虫わななどがないか確認した。

 

合同パトロールは、来島客が増加するゴールデンウイークに合わせて毎年実施している。天城町役場であった出発式では、同協議会推進員の美延治郷さんが「昨年、1人で100以上の昆虫わなを仕掛けていた人もいた」と報告。「世界自然遺産登録で徳之島は世界の宝となった。その宝を未来へつなぐという使命感を持って目を光らせてほしい」と呼び掛けた。

 

環境省徳之島管理官事務所の福井俊介国立公園管理官は、昆虫を採集しているとみられる人への対応について「パトロール員は捜査機関ではなく、聞き取りはあくまで任意。まずは相手に自分の身分を明かして協力を求めてほしい」と説明した上で、「パトロールは周辺の島々や他の世界自然遺産地域を守ることにもつながる重要な活動。官民一体で取り組んでいきたい」と話した。

 

保護活動団体の徳之島虹の会は、昆虫を取り扱う業者の手段について「現地の人間にわなの設置や昆虫の捕獲を依頼し、業者は空港で昆虫を受け取る」などと、島外へ持ち出す際の手口を紹介した。

 

出発式後、参加者は約2時間かけて島内をパトロール。不審な車両や昆虫わなはなかったが、天城町と伊仙町の町境の県道でアマミヤマシギ1羽のロードキル(交通事故死)を確認したという。

 

関係機関や団体は、5月以降も個々にパトロールを継続し、盗採や盗掘に目を光らせる。