神秘的な命の営み 倉崎海岸でサンゴ産卵 満月の時期、バンドル一斉に浮遊 興克樹さん撮影

2024年05月23日

夜の海に神秘的な光景が広がったサンゴ(ハナガサミドリイシ)の産卵=21日午後11時ごろ、龍郷町倉崎海岸(興克樹さん撮影)

龍郷町芦徳の倉崎海岸で21日夜、サンゴの一斉産卵が確認された。奄美海洋生物研究会会長で自然写真家の興克樹さん(53)=奄美市名瀬=が撮影。精子と卵の入った直径0・5㍉ほどの淡いピンク色のカプセル(バンドル)が放出されて浮遊し、夜の海に神秘的な光景が広がった。

 

21日正午、同町倉崎海岸と芦徳海岸の波打ち際で、サンゴの幼生や卵が集まって浮かぶ帯状の固まり「スリック」が見られたことから、興さんは同日夜に周辺海域の沖合20㍍、水深2・5㍍地点で潜水調査を実施。午後11時から約30分間で、サンゴ2種(ハナガサミドリイシ、キクハナガサミドリイシ)5群体の産卵を確認した。海水温は24度だった。

 

産卵するサンゴ(キクハナガサミドリイシ)=21日午後11時ごろ、龍郷町倉崎海岸(興克樹さん撮影)

興さんによると、枝サンゴやテーブルサンゴなどのミドリイシ属サンゴは、5~6月の満月の時期に複数種が一斉に産卵する。今後は8月ごろまで、島内の他海域でもサンゴの産卵があると予想される。

 

奄美大島では1998年にサンゴの大規模白化が起こり、2000~08年にはオニヒトデの大量発生により多くのサンゴが消滅したが、現在は回復傾向にあるという。

 

興さんは「風向き次第では波打ち際でスリックが見られるかもしれない。サンゴの命の営みを身近に感じてほしい。回復が遅れている海域でも多くのサンゴ幼生が定着することを期待している」と話している。

※このQRコードからサンゴ(ハナガサミドリイシ)の産卵動画が視聴できます。