「徳之島の餅もらい行事」県文化財へ 文化審が答申、4月正式指定

2024年03月28日

芸能・文化

県文化財への指定が答申された「徳之島の餅もらい行事」(伊仙町教育委員会提供)

【鹿児島総局】県文化財保護審議会(本田道輝会長)は26日、「徳之島の餅もらい行事(無形民俗文化財)」など3件を県の文化財に指定するよう県教育委員会に答申した。4月にある教育委員会定例会の議決などを経て、正式指定となる。

 

県教委文化財課によると、餅もらい行事は五穀豊穣(ほうじょう)や集落繁栄を願い、人々が唄い踊りながら集落内や家々を回って餅や菓子をもらう行事で、奄美諸島以南に伝わる。徳之島では徳之島町の尾母、花徳(上花徳、前川)、手々、天城町の西阿木名、伊仙町の犬田布(東犬田布)で行われ、「アキムチ」「ムチタボレ」「イッサンサン」といった名称で伝承されている。

 

かかしの姿をした人形を用いたり、男性が白い布で体を覆い紅白の棒を持ったりするなど、行事の形態は各集落で独自性が認められ、唄のリズムや歌詞も一様ではない。行事の日程も集落で異なり、1月、8~10月の日柄や各種行事と調整しながら、地域の青年団や女性団体、保存会、子ども会などが受け継いでいる。

 

同審議会は「時代に合わせて変化しながらも、集落住民全体が参加者となって継承されていることは重要。個別の唄や踊りが芸能的な価値を有することに加え、集落住民の結びつきを深める行事となっており、地域的特徴を示す貴重な行事である」と評価した。

 

他に答申された文化財は、南種子町の宝満神社本殿(有形文化財)と屋久島町の楠川盆踊り(無形民俗文化財)。答申通り指定されれば県指定文化財は322件となる。