アラセツ前夜に「ツカリ」 膳供え、祖先に祈り 龍郷町秋名・幾里

2022年08月31日

芸能・文化

縁側に膳を供えコウソガナシを祭る「ツカリ」=30日、龍郷町秋名

旧暦8月最初の丙(ひのえ)の日に当たる31日はアラセツ(新節)の祭り日。龍郷町秋名・幾里では国の重要無形民俗文化財の秋名アラセツ行事が行われる。前日の30日は前夜祭に当たる「ツカリ」があり、地域住民が各家庭でごちそうを供えてコウソガナシ(先祖の神)を祭った。

 

秋名の作田ヘイ子さん(90)は今年も赤飯や野菜の煮物、揚げた魚など心を込めた膳を用意し、家内安全を願って先祖に手を合わせた。芋と米を原料にした発酵飲料「ミキ」や焼酎、お茶、季節の果物のほか「(悪いものを)道迷いさせるため」に、らせん状に巻いたニラも供えられた。

 

秋名アラセツ行事は五穀豊穣(ほうじょう)を願う稲作儀礼。昔はツカリの晩に住民が家々を一軒ずつ訪問して踊り、夜が明けるのを待ったという。高齢化などでツカリにごちそうを供える家は年々減りつつある。

 

作田さんは「23歳でお嫁に来て義理の母に教わったことを続けている。子や孫に無理にやりなさいとは言わないが、自分が元気なうちは続けていきたい」と話した。