与論十五夜踊を奉納 地主神社

2020年10月02日

芸能・文化

与論十五夜踊の演目の一つ、「三者囃子(さんばすう)」。破れ傘を買わされた家来(写真右)と、それをたしなめる大名(写真左)のユニークな踊り=1日、与論町の地主神社

与論十五夜踊の演目の一つ、「三者囃子(さんばすう)」。破れ傘を買わされた家来(写真右)と、それをたしなめる大名(写真左)のユニークな踊り=1日、与論町の地主神社

 旧暦8月15日に当たる10月1日、与論町の地主(とこぬし)神社境内で、国の重要無形民俗文化財「与論十五夜踊」が奉納された。今年は7月に発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)の影響で、島内外には広報せず関係者のみで実施。飲食や飲酒も自粛されたものの、参加者たちは無事開催できたことを喜び、島中安寧と一刻も早い新型コロナの収束を願った。

 

 与論十五夜踊り保存会(黒田茂實会長)によると、与論十五夜踊は1561(永禄4)年に、与論領主が島民慰安のために創らせたのが始まりとされる。踊りは1番組と2番組で構成され、室町時代の狂言風の舞踊や、琉球風の舞踊が見られる芸能史上で貴重なものとされている。

 

 1日は好天に恵まれ、午後4時すぎから演目が始まった。黒いスカーフのような頭巾(シュパ)をかぶり、顔を覆った2番組の演者は「あーみたぼーり/たーぼーり/しーまがぶーどぅゆーがーぶ(雨が降りますように/島が豊作で世の中も心も豊かになりますように)」と「雨賜り」を演じた。

 

 与論十五夜踊は旧暦の3月、8月、10月の15日に行われるが、8月15日が最大の祭りで、獅子舞と大綱引きも奉納される。獅子が現れると会場は大いに盛り上がり、歓声が響いていた。

 

 山元宗町長は「この島はこれまでも疫病に悩まされてきたが、力を合わせて乗り越えてきた。新型コロナ発生後も誹謗(ひぼう)中傷もなく温かく島民を迎えてくれた地域の方々に、島の誠の気持ちが表れている。これからも誠の心を大切にして発展していきたい」と語った。

 

会場を盛り上げた「獅子舞い」=1日、与論町の地主神社

会場を盛り上げた「獅子舞い」=1日、与論町の地主神社