先人の苦労や願い描く 復帰劇「私たちの望むものは」上演 せとうちシアター塾

2023年12月18日

芸能・文化

復帰を願って団結する奄美の人々を熱く演じた復帰劇「私たちの望むものは」=17日、瀬戸内町きゅら島交流館

瀬戸内町教育委員会が主催する2023年度総合芸術教室「せとうちシアター塾」による復帰劇「私たちの望むものは」が17日、同町きゅら島交流館で上演された。今年3月の初公演に続き2回目。小学3年生から60代までの町民ら計29人が出演し、会場には約200人が訪れた。出演者らは戦争の悲惨さや平和の大切さを伝え、復帰を成し遂げた奄美の先人たちの奮闘を熱演した。

 

町教委が22年度に始めた事業で、演劇を通して表現力やコミュニケーション力を身に付けてもらうことが目的。脚本・演出は奄美市名瀬出身の映画監督、富岡忠文さんが担当している。23年度は文化庁文化芸術創造拠点形成事業に採択され、奄美群島日本復帰70周年記念事業として同町と奄美市名瀬の2カ所で上演する。

 

劇は現代の瀬戸内町に暮らす子どもたちが、祖母の体験から戦時中や米軍統治下の奄美について知る物語。空腹にあえぐ貧しい暮らしや教科書・ノートも十分にない教育環境など、本土と断絶された当時の苦難を描き、奄美を守ろうと人々が復帰を目指して団結する様子を力強く表現した。

 

会場の観衆は、ステージ上の熱演を大きな拍手で称賛。劇を鑑賞した泰美心さん(古仁屋中2年)は「友人が出演しているので見に来た。すごい演技で戦争の悲惨さなどが伝わってきた」と感想を話した。

 

米軍統治下の高校生の役を演じた仲山楓さん(伊子茂中3年)は「初出演だったが役になりきることができた。劇を通して復帰の歴史などたくさんのことを教わった」と振り返った。

 

24日には奄美市名瀬のアマホームPLAZAでも上演する。午後3時半開場、同4時開演。入場無料。

 

問い合わせ先は電話0997(72)2905瀬戸内町教委社会教育課。