大島紬の担い手育成へ 製造学ぶセミナー開講 奄美市名瀬

2022年10月18日

芸能・文化

本場奄美大島紬担い手育成支援セミナー「大島紬で奄美を学ぼう」の初回講座=17日、奄美市名瀬

本場奄美大島紬担い手育成支援セミナー「大島紬で奄美を学ぼう」(奄美大島雇用創造協議会主催)が17日、奄美市名瀬の市産業支援センター・ワークスタイルラボで始まった。21日まで連日の全5回、応募当選した12人が受講する。各製造工程の職人らを講師に迎え、独特な色合いや精巧緻密な絣模様を生み出す伝統技術に理解を深める。

 

セミナーは2022年度厚生労働省委託・地域雇用活性化推進事業の一環。後継者不足が深刻化している大島紬生産の担い手確保を図り、初めて開講した。受講者は21日までの各回で、大島紬について①図案制作②締め機③テーチ木・泥染め④加工⑤機織り―といった一連の製造工程を学ぶ。

 

17日は、本場奄美大島紬協同組合検査課職員の濵田浩之さん(51)が講師を務め、大島紬の概要や歴史、現状と製造工程の設計段階に当たる「図案制作」について解説。受講者は方眼紙に点を書き込み図案を完成させる作業を一部体験し、実践的に学んだ。

 

濵田さんは大島紬の特徴や歴史を振り返り、現状については「紬従事者の高齢化、減少で生産反数は年々右肩下がり。従事者の待遇改善などが大きな課題」と説明。比較的知られている絣模様「龍郷柄」「秋名バラ」などを画像で示しながら「こうした独特な幾何学模様は身近な植物や道具などに由来しており、奄美の自然や伝統文化を反映している」と紹介した。

 

セミナー初回のこの日は、講座に先立ち受講生たちの自己紹介もあった。各自応募した理由や意気込みについて「機織りをする母や祖母を見てはいたが、より深く知りたい」「締め機を仕事としている。工程全体を把握したい」「いつか家族のために自分で紬を織れるよう、知識と技術を身に付けたい」などと語った。