命守る知識、身に付けて 出前授業で避難行動学ぶ 龍南中学校
2023年06月20日
子ども・教育
龍郷町の龍南中学校(碇山信之校長、生徒120人)で19日、災害時の避難行動を学ぶ出前授業があった。鹿児島大学総合教育機構共通教育センターの岩船昌起教授が「避難環境に応じた行動の選択―地震と津波を例に、事前に考える」をテーマに講演。全校生徒が参加し、災害発生時の身の守り方や、避難時の行動を判断するために必要な知識を学んだ。
出前授業は避難訓練と同日に実施。訓練は「喜界島沖で震度7の地震が発生し数分後に龍郷町へ津波が押し寄せる」との想定で、抜き打ちで行われた。生徒たちは職員の指示で校舎4階へ避難。岩船教授は「戸惑いながらも、きちんと行動できていた」と評価した。
講義では、岩船教授が東日本大震災や大阪北部地震など全国で発生した災害の事例を示し、家や屋外など場所ごとで異なる災害時の身の守り方を説明。「堤防を超えた津波は浸水深20センチで乗用車を流す」「浸水深3メートルを超えたら家屋を流す」など、津波の危険性を写真を交え解説した。
その上で「普段から自宅や学校の標高を把握し、どの段階まで安全か理解しておくことが大切。災害発生時は自分の体力と避難場所までの距離を比較し『屋内安全確保』か『立ち退き避難』か見極めることが大事だ」と訴えた。
自分の命を守るためには「最終的には自助が避難行動の基本」と強調し「学校では先生が指示するが、登下校時に災害が起これば自分で判断するしかない。将来奄美を離れ、他の地域で暮らす際にも応用できるよう、情報の集め方や必要な知識を身に付けてほしい」と呼び掛けた。
郡山光希さん(1年)は「学校や自宅の周囲など、自分はこの土地のことを知らなかったと気が付いた。危険な場所を学ぶことができよかった」と話した。