対馬丸事件の歴史学ぶ 交流事業控え、事前研修 宇検村

2023年07月23日

子ども・教育

写真を教材にディスカッションする児童生徒ら=22日、宇検村

沖縄戦の風化を防ぎ、歴史を正しく継承するための取り組み「対馬丸平和学習交流事業」(沖縄県主催)の事前研修が22日、宇検村湯湾の生涯学習センター「元気の出る館」であった。宇検村、大和村、瀬戸内町の小学4年生~中学3年生19人が参加。本研修を来月に控え、沖縄戦の歴史や奄美大島の戦禍、鹿児島県の悪石島沖で米潜水艦に撃沈された学童疎開船「対馬丸」の事件について学び、予備知識を蓄えた。

 

同事業は、2017年に宇検集落に対馬丸の慰霊碑が建立されたことが契機となり、翌18年から実施されている。沖縄戦や対馬丸事件の歴史を通し、「戦争の悲惨さ」「平和の尊さ」を伝え、沖縄と奄美大島の子どもたちの交流を図るのが目的。

 

事前研修では、沖縄県那覇市で平和学習事業などを展開する「さびら」の安里拓也さん、対馬丸記念館学芸員の堀切香鈴さんが講師を務めた。参加者らは、ブレインストーミング(集団発想法)で戦争によって発生する問題などを抽出したり、沖縄戦での体験者の証言や写真を教材にディスカッションしたりした他、対馬丸記念館の資料映像「海よ、いのちよ。」を鑑賞した。

 

同村の田検中学校に通う山元陽さん(15)は「地元の関わる歴史を学ぶことができ、とても有意義だった」と話し、昨年は本研修だけ参加したという大和村の上野真宗さん(12)は「事前に歴史を学習できて良かった。前回は、沖縄の同世代と仲良くなれてとても楽しかったので、今から本研修が待ち遠しい」と笑顔を見せた。

 

本研修は8月19日に開催。沖縄県の小中学生との交流を図りながら、対馬丸慰霊碑の見学や現地フィールドワークなどが行われる予定。