「挑戦続け、自立へ」 全国コンテストで最高賞 奄美出身の福留さん(鹿養護高等部2年)

2023年02月16日

子ども・教育

「ミラコン2022~未来を見通すコンテスト」で最高賞の文部科学大臣賞と観客賞に輝いた福留音亜さん(右)と押川祐太教諭=8日、鹿児島市の県立鹿児島養護学校

「島を離れて自立したい」―。車いす生活を送る福留音亜(のあ)さん(16)はそんな思いで生まれ育った奄美大島から鹿児島市の県立鹿児島養護学校に進学した。校区外の学校に通うため、住居や身元引受人探しに苦労したが、今では掃除や洗濯、公共交通機関の利用など身の回りのことを一人でできるようになった。福留さんはこのほど開催された「ミラコン2022~未来を見通すコンテスト」(全国特別支援学校肢体不自由教育校長会主催)で自身の経験や思いを発表。最高賞の文部科学大臣賞と観客賞に輝いた。

 

福留さんは奄美市名瀬出身で現在、同校高等部の2年生。地元にある大島養護学校ではなく鹿児島養護学校に進学したのは、親元を離れ自分一人でいろんなことに挑戦したいという強い思いがあったからだ。

 

全国39校から発表動画計98作品がエントリーした同コンテストの最終審査は昨年12月14日、オンラインであった。福留さんは「いろいろな個性のある人たちが挑戦できる社会を目指して」と題し発表。これまでの体験を踏まえ、約5分間のプレゼンテーションで校区の撤廃と専門学科の設立を提言した。「自分の意思で進学先が決められる社会を目指したい」と話し、進学する特別支援学校を選択できる仕組みづくりを訴えた。また、情報処理科や機械科などの設置によって生徒の職業選択の幅が広がり、習得した知識や技術が就職活動でも武器になると強調した。

 

コンテストに向けては、同じ奄美大島出身の押川祐太教諭(37)と約1カ月間、発表の練習を重ねた。押川教諭は「考えや思いがしっかりしていて、発言の内容についてはアドバイスしていない。本人が必死に頑張り、その結果が実ってよかった」と語った。

 

福留さんの将来の夢は声優になること。月3回のレッスンに励み、「主役を張れる声優になりたい」と意気込んでいる。アニメ動画を制作して自分の声を吹き込み、動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信することにも意欲を見せる。「たくさんの挑戦をして、自立に向けてもっと頑張っていきたい」。福留さんはそう語り、目を輝かせた。

 

福留さんの発表の様子は同コンテストの特設サイト内で視聴できる。