生徒、企業、研究者が意見交換 日焼け止めの環境負荷研究 大島高校「珊瑚組」

2022年08月20日

子ども・教育

企業や大学の研究者と語り合う重信さん(左)=19日、奄美市名瀬

日焼け止めクリームが海のサンゴに及ぼす影響について調べている県立大島高校3年生の重信瑚杜子さん(17)と、地元の化粧品メーカー「アーダン」、東京大学大気海洋研究所の研究者らによる意見交換会が19日、奄美市名瀬の同校であった。生徒、企業、研究者がそれぞれの立場から意見を出し合い、環境負荷の少ない日焼け止めの普及啓発に向けて考えを深めた。

 

重信さんは同校で1年時から継続して行う「総合的な探求の時間」で、同級生2人と共に研究チーム「珊瑚(さんご)組」を結成。水槽での実験で、一部の日焼け止めクリームに含まれる紫外線吸収剤がサンゴの白化現象を早めることを確認した。同チームは実験結果を基に啓発ポスターを作製し、サンゴに有害な化学物質を含まない日焼け止めの利用を呼び掛けている。

 

意見交換会は、絹を原料に人体や環境に負担の少ない化粧品の製造に取り組んでいるアーダン(本社・奄美市名瀬、西博顯代表取締役)が企画。研究のため奄美大島を訪れていた東京大学大気海洋研究所の横山祐典教授らが協力し、サンゴ礁について解説した。

 

アーダンの平田美信研究員は、市販の日焼け止めの成分や世界的な規制の流れ、企業の取り組みなどを紹介。「各社が環境に優しい商品開発を目指しているが、研究結果にばらつきがある状態」と述べ、「消費者にとって信用性の高い中立的な研究はとても重要。これからも多角的な目線から学びを深めてほしい」と珊瑚組の取り組みを激励した。

 

会の後、重信さんはアーダンへ啓発ポスターを贈呈。同社は自社製品の販売先などでポスターを掲示し、環境保全の必要性を消費者へ呼び掛けるという。

 

意見交換会では、横山教授ら東大の研究者が重信さんの取り組みや実験の検証方法についてアドバイスする場面もあった。重信さんは「サンゴ礁は奄美の生物多様性を支える重要な海域だと改めて実感した。卒業後も人と自然の共生について研究し続けたい」と話した。